■「常識」の呪縛からの自己解放
17日の記事へのコメントを坂谷さんからもらいました。
そのコメントを材料にさせてもらって、
私の生き方の根底にある考えを少し書かせてもらいます。
坂谷さんのコメントには直接答えていないのですが。
坂谷さんは次の2点を書いてくれました。
① 日本の少子化がすすみ、逆ピラミッドの人口構成では、改革するとなれば、年齢層により、どんな改革でも不利益をこうむる人が出てきます。「年金改悪反対」だといっても、どのようにするかを具体的公約なり改革案になると、総論賛成、各論反対的状況になります。
② イラク派兵についても、「自衛隊を撤退させることで、日米案を基軸とする安全保障はどうなるのか、石油がこなくなったら、どうするんだ。」という恫喝には、沈黙せざるをえない、そんな構造があるのではないでしょうか。
このコメントには賛成です。それを前提に読み進んでください。
子どもの数が減れば、年金の保険料を上げ、給付額を減らさないといけない、という発想に、私は間違いを感じます。子どもの数が減るから年金の運営がむずかしくなるというのは、今の年金制度を前提にした発想です。それを変えるのが「改革」です。
日本の改革の多くは、行政改革も企業改革もすべて、大きな枠組みを変えるのではなく、制度をいじるだけですから、成功しないのだと思います。
年金についていえば、少子高齢化社会における年金のあり方を考えればいいのです。たとえば、社会的引退時期を70歳にすればいいのです。私の友人は、63歳にして仕事をしていない人がたくさんいます。彼らは働けないのではありません。社会的に「働く世界」から出されただけです。そして、その一部はNPOなどで無償の仕事をしています。それが悪いわけではありません。しかし、彼らはまだ年金保険料を払える生き方もできるのです。そして、それが幸せかもしれません。
壮年時代に徹底的に過剰な労働をさせる仕組み、あるいは本当に役に立つ仕事をせずに役職だけで高給をとる仕組み、そうした仕組みを変えなければなりません。
つまり、年金制度が問題なのではなく、社会のあり方、働き方、支え合い方が問題なのです。
暴論であることはわかっていますが、ともかく、子どもの数が減るから年金保険料を上げ給付額は減らさなければいけないという常識から解放されなければいけません。
「自衛隊を撤退させることで、日米案を基軸とする安全保障はどうなるのか、石油がこなくなったら、どうするんだ」という発想にも、いくつかの呪縛があります。
日米安保体制がなくなったらどうなるか、石油がこなくなったらどうなるか。やって見なければわかりませんが、たいした問題は起きないのではないかと思います。いま起きている「たいした問題」に比較してですが。
これまた暴論ですが、大切なのは、変化を恐れて変革に挑戦しないことです。
いわゆる「ゆでがえる現象」です。
「常識」の呪縛から自由にならなければいけません。
先日、大学の同窓生に会った時に、
「佐藤の常識は社会の常識とは違うから」
といわれました。
しかし、その私の常識も少しずつ社会の常識になってきたものもあります。
常識とは、その社会で生きやすくするためのルールだと私は考えています。
しかし、今やそのルールを根本から見直さなければならない時代になったのです。
日米関係が壊れても北朝鮮は責めてこないでしょうし、
石油がこなくなっても、対応はできるでしょう。
困ったらみんなで工夫すればいいのです。
額に汗して働いている生活者には、そのくらいの知恵があると確信しています。
私は飢え死にするかもしれませんが、もしそうならば、私がしっかりと自活していなかったためです。諦めなければいけません。
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コメント
「おもしろい!」
このエントリーを読んだ感想です。
こんなに面白い人が近くにいるというのが嬉しいし
もっと修さんから学びたいという衝動に駆られました。
ちゃんと毎週木曜日に行きます、はい。
で、修さんがそのいわゆる常識でない考え方を
身に付けたのは、どういう経緯か聞きたいですね。
そして、修さんのような常識でない考え方をする
大人を増やすにはどうしたらよいのでしょうか?
それを実践すれば、よい日本になっていくような気がします。
投稿: やべ | 2004/06/19 12:44
矢辺さん
お褒めいただき光栄です。
>で、修さんがそのいわゆる常識でない考え方を
>身に付けたのは、どういう経緯か聞きたいですね。
身につけたのではありません。
もし違いがあるとすれば、常識に毒されなかったのです。
たとえば、私は横書きが好きでしたから、
中学校では国語のノートも横書きでした。
教師から怒られましたが、止めませんでした。
なぜ国語が横書きでなければいけないか、考えたことはありますか?
子ども時代の素直な気持ちを大切にすればいいのです。
学校が無理に「常識」を教え込む必要はないのです。
但し、生きやすくはなりませんが。
>そして、修さんのような常識でない考え方をする
>大人を増やすにはどうしたらよいのでしょうか?
みんな心の奥に素直な目を持っています。
それが出せる状況をつくればいいのです。
私が会社を止めてから考えたのは、保育の世界に大人たちが関わることでした。
つまり子どもたちと付き合えば、かならず素直な本来の心を思い出します。
大人たちが子どもたちとつきあう場をもっと増やしたいですね。
矢辺さんはとても素直な、心の目を持っています。
それを大切にするといいです。
投稿: 佐藤修 | 2004/06/19 13:42
そういえば、ぼくは子供の頃、大人になったら
汚くなりたくないから、今の子供の気持ちを忘れずに
過ごそうと思っていました。
そう考えると、大人たちが子どもたちとつきあう場を作り出す
というのは、正しいことかもしれませんね。
ありがとうございました。
投稿: やべ | 2004/06/21 17:33