■中国サッカーのサポーターたちの根底にあるもの
先の参議院選挙結果のショックで、しばらく書き込みをやめていました。
気持ちはいまなお萎えていますが、また書き出すことにしました。
社会の質の悪さは、そこに所属する自分の質の反映でしかないでしょうから、自己嫌悪と反省をこめて、このブログを再開します。
今日の話題は、アジアカップでの中国サポーターの態度に関して、です。
私は、2つのことを感じました。
第1は、中国の選手からなぜ、たしなめる発言がないのかという疑問です。
スポーツの政治経済化は、選手同士のつながりを壊しているのでしょうか。
彼らはゲームを楽しんでいるのでしょうか。
もし彼らが楽しんでいないとしたら、イラクの米国兵士とどこが違うのでしょうか。
スポーツもまた、国家の争いのツールになっているようです。
芸術や文化、スポーツや科学が、国家を超えた人のつながりを育てていく時代は、どうやら終わったようです。
第2は、こうした動きがここまで高まるにはそれなりの背景があるのではないかという不安です。
尖閣諸島の問題や過去の日本の悪行が口実にされていますが、理由は他にあるような気がします。もっと現実的、現在的な理由があるはずです。
江沢民の抗日キャンペーンという話もありますが、それを顕在化する何かの事件か事実があるのでしょうか。
それが何か、なんとなく想像はできますが、確信はもてません。
しかし、おそらく私たちには見えていない問題が、彼らには見えているのでしょう。
われわれは、そうしたことを察知するジャーナリストや情報メディアをいまや失っているのではないかと心配です。世界や歴史が見えなくなっているのです。
昨今の動きは、パンとサーカスのローマ帝国を思い出させます。
気のせいか、今年の広島と長崎からの情報発信は弱々しく、平和の議論は盛り上がりません。
小泉首相をボイコットするくらいの気概をもたなければ、広島や長崎すらが、どんどん逆方向へと利用されるだけのおそれがあります。
暑い夏ですが、心の冷えた夏でもあるような気がしてなりません。
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コメント
えっ!?スポーツは「国家の争いのツール」だと思っていました。
TVの放映権やスタジアムの建設に伴う利権、サポーターの熱狂を「愛国心」とやらにスライドさせようとする誘導。
スポーツに好印象をもったことは一度もありません。
この点、アートはあまりにもお金にならないのでヨカッタヨカッタと思っていたら、横浜市は「ナショナルアートパーク構想」などを掲げてきました。
「横浜トリエンナーレ」「芸大の移転」etc.アートに絡む金、金に絡むアートで酷いニュースが多くなりそうです。
投稿: shimoyama | 2004/08/11 15:17
いえいえ、
スポーツは国家よりも起源は古いですから、
国家ごときに従属してはいけません。
まあ最近のスポーツ選手は国家や金銭に従属しているような気もしますが。
しかし、私はいつも、
「体育系の夫が良かった」と女房から言われ、
「体育系の父親がよかった」と言われて、
スポーツマンにはコンプレックスがあるのです。はい。
投稿: 佐藤修 | 2004/08/11 18:01
この試合の前、サッカーワールドカップ・フランス大会、97年のアジア最終予戦「日本対韓国」を思い出しました。
既にフランスワールドカップ本戦出場を決めた韓国と、この最終の対韓国戦に勝ってれば、ワールドカップ初出場の日本。(ちなみに、日本で行われた緒戦は、日本が負け。)
問題の試合は、韓国で行われました。
それこそ日本のサポーター達は、「日本絶対勝利」の横断幕を手に悲壮な思いで出国し、テレビで観戦する日本人もさぞや韓国の人たちも「韓国必勝」一色で燃えているだろうと思っていました。
もちろん、韓国側の「韓国必勝」の応援はすごかったのですが、そのとき韓国サポーターの大集団の中で一枚の横断幕の文字が、熱気で頭に血がのぼっていたサポーターやテレビ観戦したの日本人の眼にはいりました。
「一緒にフランスへ行こうよ!」
ご存知のように日本と韓国には不幸な歴史と相互の複雑な感情があります。が、この時、本当に眼が熱くなりました。試合は、日本が勝ってワールドカップ初出場となったですが、なんとも試合にはかっても、応援では韓国に負けた気がしました。それも、とっても気持ちの良い敗北感です。
(この時日本が負けていれば、2002韓国日本大会の開催国特権で日本で本戦初出場となるところでした。最近の「冬のソナタ」の韓国ブームからは、想像できなかった話ですね。)
投稿: 坂谷信雄 | 2004/08/22 09:00