■共謀罪の話
8月23日の「東京新聞」の特報記事がいくつかのメーリングリストで話題になっています。加熱したオリンピック報道で、新聞を読まなくなったこともあって、私はその動きを知りませんでした。
表題は「『超監視社会』の前夜? 標的は…労組と市民団体」となっています。
刺激的な内容です。ぜひお読みください。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20040823/mng_____tokuho__000.shtml
組織犯罪処罰法改正案が今秋の臨時国会で本格審議に入る見通しだといいます。最近の国際テロに対する国際的な対抗活動が、その契機になっているようです。
まあ、これだけ聞くと、いい事じゃないかと思う人も多いでしょう。しかし、どうもそうはいっていられないようです。東京新聞の記事によれば、もしこれが成立すると、「酒場で職場の同僚たちと『あの上司を殴ったろか』なんてグチっただけでパクられかねない」そうです。
まあ、それでもいいじゃないの、という方は、是非とも第二次世界大戦の労働組合史をお読みください。
新たに新設されるのが「共謀罪」です。
自由法曹団警察問題委員会というところが、共謀罪に関するわかりやすい説明をしてくれています。
http://www.jlaf.jp/iken/2004/iken_20040115_02.html
それによれば、共謀罪とは、「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行なわれるものの遂行を共謀した罪」です。死刑を含む重い罰が規定されています。
まだどこが問題かわかりませんね。
そうです。法律というのは、そういうものなのです。わかりやすくしてはいけないのです。いまの法律は社会契約とは違うのです。
これが権力に向けて施行されるのなら、小泉首相は死刑に相当すると思いますが、実際には法律は権力者が施行します。ですから、とんでもない権力を権力者は得ることになります。死刑をまぬがれるどころの話ではありません。金正日と同じようになれるのです。80年前の日本社会を思い出します。しかし、テロ対策とはそういうことです。
チェチェンの悲劇の環境外者は誰だと思いますか。
1984年の現実が、ひたひたと忍び寄っています。
パンとサーカスに現を抜かしていたほうが、幸せなのでしょうか。
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コメント
佐藤さん、おはようございます。
「パンとサーカス」社会をコインの表とすれば、裏が『超監視社会』なんでしょうね。
投稿: 坂谷信雄 | 2004/09/09 06:20
同感です。
そしてそれを支えるのが、家畜化された幸せな市民です。
投稿: 佐藤修 | 2004/09/09 07:42