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2004/11/26

■経済的損失とは何か  

日銀の行員が新札の特殊番号をすり替えてしまうという事件が発生しました。
さして気にもしなかったのですが、日銀の記者会見で、
「会社には経済的損失を与えていないので」という発言に、違和感を持ちました。
企業の社会性への意識が感じられないからです。

たとえば企業広告を考えてみましょう。
企業はイメージアップのためにかなりのお金を投入しています。
これは経済的利益を得ると考えているからです。
逆にイメージダウンにつながる事件が発覚すれば、経済的損失につながることは明らかです。時には倒産してしまいます。

日銀は売上が立っていない組織ですから、普通の会社とは同じではないでしょう。
なぜそんな組織が存続できるかと言えば、社会からある役割が課せられているからです。
通貨の発行です。
印刷された紙でしかない紙幣が交換手段として機能するのは、みんなが制度を信頼しているからです。制度は日銀と重なっています。
今回の事件は、その信頼に傷をつけました。
この事件は、もしかしたら氷山の一角かもしれませんし、少なくともそうした疑念を芽生えさせたように思います。
なにしろ信頼していた社会保険の担当組織のひどさがどんどん見えてきている時です。
もしかしたら造幣組織もまた、おかしくなっているのかもしれません。
そう思われても仕方がありません。
つまり、社会の基本的な仕組みに対する信頼性を傷つけたのです。
これはまさに大きな経済的損失です。

最近、ようやくソーシャル・キャピタルとしての信頼関係への認識が高まりだしていますが、日銀の関係者は少しは社会の視点で考えてほしいものです。
紙幣をすり替えた人も問題ですが、その事件への組織の反応こそ、私は問題だと思います。

日銀はCIに取り組んでいるような話がありました。
私も一度話をしてほしいと呼ばれました。
しかし、CI以前の段階ですね。

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