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2004/12/10

■会社の資本金はなぜ必要か 

法制審議会の会社法部会が最低資本金の廃止を考えていると記事を新聞で読みました。昨年施行された「1円起業」が好評だったのが理由だと新聞に書かれています。
1円起業というのも、私には信じられない迎合策だと思いましたが、それが好評なので(だれの評判なのでしょうか)、制度を変えるという話には驚かされます。

社会の制度には信頼性が必要です。信頼が失われれば、制度は有効に機能しないどころか社会の秩序を壊す逆効果を持ち出します。
制度の保証にはそれなりの制約や障壁が必要です。だれでも申請すれば設立できるNPO法が市民活動にどのような影響を与えているか、もっと真剣に考えるべきでしょう。たしかに形の上では市民活動を支援したように見えますが、そのために失われたものも少なくありません。
会社を起こすためには、それなりの努力が必要です。その努力の一つは、その会社の存在意義への共感者を集める努力です。その一つが資本金の調達ですが、その障壁がなくなるというのでは、どうやって起業者の信頼性を担保できるのでしょうか。

今でも「悪徳」企業はすくなくありません。むしろそうした存在を無くしていく方向に議論を向けて、会社制度の信頼性を高めるべき時期なのではないかと思いますが、どうも審議会のメンバーは逆のことを考えているようです。制度の信頼性が高まれば、資金調達の仕組みも今とは変わるでしょう。

これに限りませんが、最近の行政の姿勢は、目的や価値の議論がなくて、ただ目先の問題対応を短視眼的に行うものが増えています。それが社会の劣化を促進しているように思います。利益を上げるためにラベルを貼りかえた雪印食品の管理者と従業員と同じことをみんながやっているのです。

時代は大きな変わり目にあります。
そろそろ、会社とは何か、を根本から考え直す時期に来ているように思います。
米国流のコーポレート・ガバナンスではない、新たな視点が必要です。
米国に追随しているのは小泉首相だけではないのが残念です。

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