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2004/12/20

■義務を権利にし、権利を義務にする社会 

社員の不祥事などからにわかに顕在化した不信感を払拭するため、「NHKに言いたい」という思い切った番組を、NHKは放映しました。後半部分を見ました。
番組の意義は大きく評価するものの、内容はほとんど意味がなかったので、コメントはやめます。

あまり論点にはなりませんでしたが、テレビマンユニオンの今野さんが視聴料は義務ではなく権利にしたいと言う趣旨の話をされていたのが印象的でした。
権利と義務。これはコインの裏表ですが、どう考えるかでまったく世界は変わります。

今野さんの説明では、椎名誠さん(だったように記憶していますが)は良い放送を確保していくためにNHKに資金を出して応援できることは権利なのだと言ったそうです。それに比べて、民放の場合、資金は作り手が出しますから、視聴者は資金をだせず、当てがいぶちの番組に甘んじなければいけません。ですから、この論理はよくわかります。
ところが現状では、ほとんどの人は視聴料を義務だと考えています。ですからNHKに対する抗議が視聴料不払いになってしまうわけです。
権利発想であれば、番組の内容の評価にも口をだすことになります。これは、今度は逆に権利ではなく、義務になるでしょうか。
この論理構造は今の多くの人の意識とは正反対です。
しかし、これからの社会のあり方を考える上では、とても重要なポイントです。
私は、もちろん、権利と考える社会を望んでいます。

同じようなことが税金にも言えます。
納税は権利か義務か。権利であれば、節税とか脱税は問題にはなりません。
権利として払いたくなるような税金であれば、今のような状況は一変するでしょう。
しかし、国家に税金を収める仕組みでは難しいでしょうから、まずは基礎自治体に税金を納めていくというように、税金の流れが地方から中央へと変わらなければなりません。
そして、もしそれができれば、行財政改革は一挙に進むでしょう。

逆のケースもあります。
教育を受けることは権利か義務か。
憲法には権利と書いていますが、多くの人は義務と思っているでしょう。
国家を歌うことすら、学校では義務なのですから。
権利としての学びの場は、おそらく教育とは原理が違いますから、これは教育を受ける権利ではなく、学ぶ事ができる権利になるでしょう。つまり、教育を受けるのはやはり権利ではなく、義務であるべきです。どこまでの教育が義務かどうかが重要な論点になります。

権利から考える社会と義務から考える社会は、全く違った展開になるでしょう。
「NHKに言いたい」の番組から、私が得た感想はこの程度です。
しかしだれもそんなことには無関心でした。
みんな義務から考える人たちなのでしょうか。

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