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2005/01/23

■マイノリティのパブリシティの排除 

NHKへの政治介入事件、もしくは朝日新聞虚偽報道事件は、真実が見えてきません。
私は両方ともに、あまり信頼感を持てずにいますが、今回の両者のやり取りを見ていて、やはりテレビの暴力性を感じています。

例えば今日のNHKの夕方7時のニュースですが、朝日新聞の言い分は一切出てこずに、政治家の発言で自らの主張を客観化しています。政治家がこれまで証言してきたことの信用度を考えれば、まあどうでもいい話ですが、NHKのニュースだけを見ていれば、朝日新聞は嘘を報じたとみんな思うでしょう。国営放送の恐ろしさです。
スチュアート・ミルは民主主義とはマイノリティのパブリシティが確保されることだと言ったそうですが、今の日本ではマイノリティどころか、大新聞ですら、パブリシティの場での排除の対象になることが示されたわけです。

私はある体験で、朝日新聞に不信感をもち、学生時代以来慣れ親しんできた朝日新聞の購読を止めています。だからと言って、読売新聞が信頼できるわけではないのですが、まあ、それくらいしか選択肢がなかったのです。
いずれにしろ、朝日新聞もおそらくNHKと同じようなことをしているだろうと思っています。つまり自らが信念を持って主体的に報じているとは思っていません。その文化は残念ながらなくなっているでしょう。付き合ってよくわかりました。

ですから私にはまあ、どんぐりの背比べにしかうつりませんが、今回の件に関しては、NHKの現在の報道姿勢には、そうしたことを超えた驚きと怖さを感じます。
せめて反対側の立場の人の声も聞きたいものですが、それが出てこない。それをNHKの人はおかしいと思わないのでしょうか。その一事を持ってしても、おそらくNHKがより多くの非を持っていると思うのは私だけでしょうか。

でもまあ、そんなこともどうでもいいのかもしれません。
もっと怖いのは、真実と無関係に、別の事実を創出していくテレビの怖さです。
身の毛がよだちます。
北朝鮮の放送を喜劇視してきた自分を恥じなければいけません。
同じだったのです。

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