■私は民間人なのです
川崎市の宮前区に、初の民間人区長が就任したと読売新聞に大きく取り上げられていました。
「民間人」。何とも馴染めない言葉です。
大辞林によれば、民間人とは公的機関に属さない人のことだそうです。
ここでは、公と民とが対峙されています。つまり、日本の公とは官なのです。パブリックではありません。
官は「統べる側」、民は「統べられる側」です。
そこには垂直的な上下関係があります。
民間企業、民間外交、・・・民は官よりも一段下に見られている構造がそこにあります。
議員は民を代表して官とつながる存在です。
まあ、現実はアリバイ工作であり、飼いならされた官でしかないことが多いですが。
言葉の問題ではありますが、士農工商社会の延長の構造を感じます。
この構造を変えなければ、社会は変わりません。
残念ながら、現実はその枠の中で動機付けられた「民間人」たちが上昇志向の競争に追い立てられている状況です。
そこから抜け出なければいけません。
市役所の職員は「民間人」ではないのですが、
「民間人」から区長になった人は、これからは「民間人」ではなくなるのでしょうか。
それが「出世」だと、この記事を書いた記者は思っているのでしょうか。
たかが「言葉」ですが、言葉は大きなサブリミナリー効果を持っています。
差別用語狩りには、私は違和感がありますが、むしろこうした私たちの意識を規定している言葉をこそ吟味していかなければいけないと思います。
これは統治されている民間人のひがみでしょうか。
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コメント
いつもうなずきながら読ませていただいてます。「私は民間人なのです」はフレーズとしていいですね。そういえば民間企業という言葉もあります。民営化についての議論はいろいろありますが、まず現在の官と民の構造を改革してから公と民の分担の議論をするようになってほしいと思っています。マスコミも民間というより公共機関ということで官に近い意識をもっているように思えます。ライブドアは民間企業としてマスコミに参入するのですから佐藤さんも支持されるのですね。
投稿: tejima | 2005/02/23 22:30
手島さん
反応が遅れてしまいました。
>ライブドアは民間企業としてマスコミに参入するのですから佐藤さんも支持されるのですね。
いえ、そうではなくて、相手のやり方がフェアでないからです。正直に言えば、私は堀江さんにもこんなことよりももっとやってほしいことがあります。
たとえば、私がやっているコムケア活動にわずかばかしの資金を寄付してほしいと思います。
まあ10億円程度で良いのですが、その程度でも社会は変えられるかもしれません。
旧体制と戦うよりも、新しい芽を育てる事が建設的ですし。
誰か堀江さんに頼んでくれませんかね。
投稿: 佐藤修 | 2005/03/01 21:22