■信頼を失いつつある金融システムの意味
通貨偽造がなぜ悪いのか記事は不評でした。
偽造は悪いに決まっているといわれれば、反論も出来ません。
少し違った視点から書きます。
日本の金融システムは信頼を失いつつあると、私は思います。
信頼を失ってしまえば、金融システムは成り立ちません。
そこに大きな問題があります。
最近の金融に関わる犯罪の多さに、銀行に預金することへの躊躇を感じている人は少なくないでしょう。
カード詐欺にあっても保証もしてくれない銀行を信頼できるわけがありません。
今はまだかつての信頼幻想の中で預金者は不安を抱きながらも他に術がないために、銀行を利用せざるをえないのですが、いつまで続くでしょうか。
銀行の社会的存在価値は大きく変わってきているはずですが、銀行は新しいミッションを創りそこないました。いや、その気はなかったとしか思えません。そして、むしろ金融不安や金融事故に依存して、自らの私益を維持することにのみ関心を向けているように思います。銀行統廃合の動きがそれを象徴しています。
カード詐欺にしても、対応策はいくらでもあったはずですが、自らの責任は取らずにきました。銀行を信頼して預けた預金者の保護は彼らの関心事ではありません。もちろん政治家も本気で考えようとはしていません。むしろヤミ金融の世界を利用しながら、問題の本質を摩り替えているような気がしてなりません。
つまり銀行をはじめとした金融関係者は、信頼性を保証するためのビジネスチャンスには関心を持っていますが、金融システムの信頼性にあまり関心はないのです。
まさに「産業のジレンマ」の典型的な事例です。
金融システムがこわれたら、大混乱が起こるでしょう。
金融システムの信頼性の回復は緊切な課題です。
それは、企業や産業の視点で構想するのではなく、個々人の生活の視点で構想されなければいけません。
せめてカード詐欺や振込詐欺の被害者を救済する仕組みはすぐにでもつくるべきです。
システムを管理する側として、それは当然のことです。
その常識を回復するところから、まずは始めるべきでしょう。
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コメント
はーい、ぼくは、偽造の何がわるいのか、って
すごく面白い指摘だとおもいます。犯罪ですから、そりゃ、いいわるいでいえば
クロですけどね(笑)
書いてあるとおり、個々の利益ばかりでなくて、共有地(コモンズ)のことを
もっと考えないと、コミュニティ全体の信頼がこわれて、個々の利益どころじゃないですよね。 ・・・入会地で芝刈りしまくったら、芝がなくなってた!そこで「管理人は何やってる!」と叫んでも、、あなたも管理人の一人ですからっ!
それから、ちょっと極論ですが
「これでは安心できない」ってよくメディアが
被害者意識いっぱいで書いているの、すごく気になります。(スポーツ報道の
「感動をありがとう」も違和感がありますが・・・ 感動まで「もらって」るの?
感動「した」んでしょう?)
システムが提供されている状態があたりまえなんでしょうか?
極論ですが、小学校の男の子社会は厳しい競争社会で、弱肉強食??だったので
つねに「バカがみる~!!」でした。つまり、だまされたのお前、ばかだなー
って笑われた。もちろん騙すほうは悪いですが、世界中、ほとんどの場所では
騙される自分もだめなんです。これがふつうだとおもうんですが・・・
貨幣も政府も信頼しきらない。それって、不安なんでしょうか?
信頼しきって頼ってしまうほうが、よほど不安にもおもいます。だったら信頼できる
ものは自分らでつくってしまう。
国家は磐石じゃない、って、今度は自分で考え始める、不謹慎ですがおもしろい?事件かなっておもいました!
投稿: いの | 2005/02/20 10:36