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2005/03/03

■働くことは義務か権利か  

失業率が高まっています。
これは嘆かわしいことだと普通は考えます。
でもそうでしょうか。
そして、どこが悪いのでしょうか。

失業者がいても、社会は持続していけているのです。
社会を持続させていくための生産活動は十分行われているということです。
社会総体で考えた場合、労働時間短縮が実現したといっていいでしょう。
社会にとっては豊かさの実現です。

しかし、現実にはどうもそうはなっていません。なぜでしょうか。
それは、働くということと成果の取り分が強くリンクしているからです。
「働かざるものは食うべからず」のルールの呪縛があるからです。
働くという義務が食べる権利とセットになっています。
ここに問題があります。

家庭という社会で考えてみましょう。
そこでは働かなくとも生活が保障されている人がいます。
乳幼児やお年寄りです。時には病人もそうです。

話がややこしくなりますが、私はそういう人も働いていると考えていますが、
今回はそこは無視します。
改めてそこは書きます。
今回は、あえて、
「働く義務と食べる権利はセットになっていない」例として家庭をあげておきます。

話を戻します。
失業者が多いことはなぜ悪いのか。
働かない人が増えてきていることと失業率の高まりとは違う話です。
それが混同されているような気がします。
それは、働くことが義務だと考えられているからです。
働かない人が増えているのと働けない人が増えているのとは全く違う話です。

働くことは、ワクワクするような喜びの行為です。
いや、そうであると私は確信しています。
みんな働きたいのです。わくわくしながら。
しかし、そうしたワクワクするような働きの喜びを、誰かが、あるいは何かが苦痛にしてしまったのです。ですから労働時間は短いほど良いと、労働組合も考えてきたのです。
最近になって、ようやくILO(国際労働機構)も、ディーセントワークなどと言い出していますが、本来、働くとはワクワクする価値ある行為なのです。
そうであれば、働くことは義務や責務ではなく、権利なのです。
この価値観の転換が、いま求められているように思います。
その権利を、一部の人たちが独占してはいけません。
昨日も超多忙な若者に会ったら、給料を減らしてもらってもいいから休みがほしいと言っていました。

私は現在の社会が必要としている労働時間を人口で割って、働く権利の平均時間を決めて、それを越えて働く人はむしろ給料をもらわずに社会にマイナス給料を払うのがいいと考えています。何をバカなことをといわれそうですが、累進課税の精神は、そういうことだと思っています。

問題は労働の単価です。
時間給が安いから労働時間を長くしなければやっていけないのだと言う人がいるでしょう。
確かにそれもまた多くの現実です。
しかし、それもまた、働くシステムの基本設計がおかしいからです。

さらにややこしくなりますが、
いま、会社に雇用されている人は働いているのでしょうか。
働かされているのと働いているのとは、これまた違います。

なにやら複雑になりすぎました。すみません。

みなさん
いずれにしろ(飛躍しますが)、
働くことと食べることをリンクさせる必要はないのです。
そういう発想で、生産システムや生活システムを設計し直していく時代に来ているように思います。
少なくとも、働かないと食べていけない社会は見直すべきです。

この議論は、私が予定している「コモンズの回復」のキーコンセプトの一つであり、まだ消化不良気味なのですが、最近のニート議論や定年延長などの動きに、大きな違和感があるため少し書いてしまいました。
ご理解いただけたでしょうか。
いえ、書いている私もあんまり理解できていないようですね。
いやはや困ったものです。
すみません。

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コメント

2005年の時点でこんな内容のコラムがあったとは。
2008年の今見てもなかなか納得するような。
私は「働く」ことと「食べる」ことはリンクしなくてもいいと思うし、「働く」ことにワクワクもいらないと思います。
「働く」ことは「働く」ことであってそれは「労働義務」なのだと思います。
生きていること、働くこと、それぞれに意味を求めていたら今の時代やっていけません。。。。。

投稿: zumi | 2008/07/28 19:00

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