■「言葉」が死に出したような気がします
全国の小学5年~中学3年の約45万1000人を対象に実施した学力調査結果が発表されました。3年前から実施された「ゆとり教育」を柱とする新学習指導要領で学ぶ子どもを対象にした初の学力調査だといいます。
最近のゆとり教育批判が、そうした実態把握を踏まえずに議論されていたのかと改めて驚きますが、今回、学力が少し向上したという結果になったのはきわめて皮肉な話です。
以前も書きましたが、そもそも「学力」か「ゆとり」か、などという発想自体に問題があると思いますが、今回の報道を見ていても、そもそも「学力とは何か」「ゆとりとは何か」が見えてこないのが残念です。
その同じ新聞に、
「起業」をキーワードに、小・中学生に英語やマルチメディアなどを総合的に教える講座が人気だ。という記事が出ています(朝日新聞)。
これもいささか気になります。
そういえば、学校に限りませんが、いたるところで「起業」がキーワードになっています。
ここでも気になるのが、起業とは何かです。
朝日新聞によれば、小中学生を対象とした起業ブームに共通しているのは、「ホリエモンのような起業家の育成ではなく、「将来、社会で夢の実現が出来るよう」実践的なスキルを身につけることだといいます。
まあうたい文句はいか様にも書けますが、多くの人は実際の内容ではなく、こうした「内容を総括した言葉」で判断し、考えるようになっています。
フラーが指摘しているように、テレビと新聞が「言葉」を広げたからです。
そしてそれをたくみに、最近の「アントレプレナー支援者」は利用しています。
空疎な言葉で語る人たちが経済や政治の主流になっていることがとてもさびしいです。
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コメント
TBありがとうございます。
同感です。
ゆとり教育か脱ゆとり教育か、という定義があいまいな切り口からではなく、
もっと本気で学校をどうするかを文部科学省には考えてほしいです。
浮きこぼれという言葉は始めて知りましたが、
要は学びの場の多様な選択肢を用意していくということが大切なのでしょうね。
年次管理に子どもたちを合わせるのではなく、子どもたちの豊かな多様性に合わせた学びの場が検討されることが大切だと思います。
投稿: 佐藤修 | 2005/04/25 18:33