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2005/05/30

■経営の本質 

横河ブリッジの談合隠しは組織ぐるみだったと新聞が報じています。そんなことは当然のことで、最初からわかっていることですが、いつもこの種の事件で、組織ぐるみかどうかが話題になります。もちろんほぼ例外なく組織ぐるみのはずです。いや、正確には組織犯罪というべきでしょう。そして、そうしたことが起こるのは、おそらく今の組織経営のあり方のためではないかと思います。
これに関しては、企業不祥事などの論考で、これまでも何回か書いてきました。たとえば、「雪印事件から見えてくる組織変革の方向性」をお読みください。

私は経営とは変化を創出することだと思っています。
ある本で書いた文章を転載します。

 経営の目的のひとつは組織を生き生きと存続させることです。生きている社会の中で組織が生き続けていくためには、常に自らを変化させていくことが必要ですから、経営とは「自らの変化を創出すること」といえます。不断の自己変革こそが組織を生き生きと存続させることになるわけです。  ところで組織のホロニックな性格から、組織の自己変化は結果として社会の変化を引き起こします。したがって、経営とは「社会の変化を創出すること」ともいえるわけです。その社会の変化は結局は自らにかかってきます。社会がおかしくなれば、そこに存立する組織もまたおかしくなることは言うまでもありません。 (「保育園の未来経営を考える」(筒井書房)から引用)

 ところが、組織には環境が変化する中で、自らのアイデンティティを変化させまいという性格があります。いわゆるホメオスタシス(恒常性維持機能)というものです。環境に振り回されていたら、組織は維持できないのです。
 ここに、企業経営の面白さがあります。

 多くの企業不祥事の悲劇は、組織防衛の方法を間違っていることです。組織の論理に振り回されているのです。つまりは経営不在です。組織の論理に抗して、生命の論理に立った経営をしなければいけません。コンプライアンスや社会責任の問題の前に、まずは組織に息吹を与えなければいけません。そこで求められるのは、ホメオスタシスに対して、むしろホメオカオスといわれるような変化創出です。難しい言葉を使えば、エントロピーの放出です。

 守るべきは組織ではなく、そこに関わっている人の暮らしです。そういう視点で見ていくと、加害者の暮らしもまた、壊されていたことに気づくはずです。
 最近の企業関係の事件を見ていると、まだまだ経営不在の企業が多いような気がします。CSR議論に、そうした視点が少ないのが気になります。

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