■コミュニケーション拒否症候群
日韓首脳会談はすれ違いに終わったようです。
会談でもそうだったようですが、小泉首相はよく「人に言われて考えるものではない」というような発言をされます。靖国問題に関して言えば、多くの日本人もそういう意識を持っているようです。
主体性を持った行動は大切なことです。
しかし、また、主体性とは他の人たちとの関係において成り立つものであることを忘れてはいけません。
言動は、行為者の主観的意識によって意味合いが決まるわけではありません。受け止めた人がどう思うかで意味が決まってきます。「どういうつもりで発言し行動したか」ではなく「その発言や行動が相手がどう受け止めたか」によって、言動の意味は決まります。どんな善意も時に悪意になり、どんな親切も時に迷惑になります。
組織起点の発想から個人起点の発想へ、というのが、私の基本的な時代認識ですが、その場合の「個人」とはばらばらの個人ではなく、人とのつながりの中での人間としての個人の意味です。ですから「個人起点の社会」は気遣いあう社会とほぼ同義語です。人は個人では生きていけないですから、関係性の視点から自らを律し、価値観を相対化していくことが大切だと思っています。
「人に言われて考えるものではない」とはコミュニケーションを拒否した姿勢です。一般の市井の人であればともかく、複数の人を代表する立場の人としては、問題でしょう。その姿勢にその人の基本姿勢が象徴されています。
もっとも、コミュニケーションを拒否する人は決して少なくありません。
そして、コミュニケーション拒否から始まる紛争や悲劇は多いです。
知人の浅野良雄さんが「対話法」に取り組んでいます。
対話法はとても効果的なコミュニケーション回復策です。
一度、ホームページをご覧ください。
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コメント
「コミュニケーション拒否症候群」を読ませていただきました。
〈対話法〉のことも紹介していただき、ありがとうございます。
「その発言や行動が相手がどう受け止めたか」によって、言動の意味は決まり
ます。どんな善意も時に悪意になり、どんな親切も時に迷惑になります。
というところは、特に重要だと思います。もちろん、相手の受け取り方を「過
度に」気にして、言いたいことも言わない(言えない)風潮も問題ですが…
…。
要は、お互いが言いたいことを対等に言い合えること、また、相手が言ったこ
とを、お互いに理解し合うことが大事でしょう。
この基本を省略して結論を急ぐことが、対人関係や国際問題をややこしくして
しまう大きな要因だと思います。
おかげさまで〈対話法〉も、さまざまな分野で注目されてきました。
たとえば、各地の社会福祉協議会や、産業保健推進センターなどが主催する、
専門職を対象とした講演会や研修会にも呼ばれるようになりました。(これま
では、学校教育や家庭教育関係の講演が主でした)
これからも、〈対話法〉をよろしくお願いいたします。
投稿: 浅野良雄 | 2005/06/23 12:23
浅野さん
ありがとうございます。
昨日、地元の我孫子市役所の市民活動支援課というところに、地元でいろいろと活動している人と一緒に話に行きました。
そこで「対話法」という言葉が出てきました。
一緒に行った人がコムケアの仲間だったのです。
対話法が広がっているとのこと、とてもうれしいです。
国会議員にもぜひ学んでほしいですね。
投稿: 佐藤修 | 2005/06/24 08:20