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2005/06/20

■過労死が起こる社会システム 

最近、自殺の問題がよく取り上げられるようになりました。
これは元NHKディレクターだった清水康之さんたちが始めた活動の成果だと思います。清水さんたちは自殺対策支援センターライフリンクというNPOを設立し、自死家族たちが声をあげていく場をつくったのです。そして、その声を活かす活動に取り組んでいます。政府も動き出しました。ささやかに応援している一人としてはとてもうれしいです。

過労自殺の問題も話題になってきています。過労死と過労自殺はほぼ同義のものだと思いますが、遺族の方の話を聞くとやはりいまのワークスタイルや働きの場の仕組みに大きな問題を感じます。そして過労死や過労自殺を起こす要にいるのが、また過労死や過労自殺の候補者であるような気がして、やりきれなさを感じます。

最近、企業の人が忙しすぎるのが気になっています。忙しすぎて仕事をする暇がないのではないかと思うほどです。なぜそんなにしてまで働くのか、仕事が面白いからでしょうか。そういう人もいますが、そうでない人が多くなってきています。そして、それに疑問を感じなくなっている人に出会うこともあります。
仕事に埋没しては仕事はできないと、私は思っています。私たちは仕事のために存在するのではなく、私たちのために仕事が存在するのです。
会社にとって、従業員は「人材」ではなく「人財」だという人がいます。会社は人によって実体がつくられますから、大切な財産だと言うわけです。しかし、人材も人財もたいした違いはありません。むしろそうした発想から抜け出ないといけないでしょう。従業員は一人の主体性を持った人間なのです。財ではなく「間」に大きな意味があるのです。しかし、そうした人の間をしっかりと育てていく余裕がなく、みんな孤立しています。そうした社会の状況を、自殺者の増加は示唆しています。

以前、日本ヒーブ協議会の年次大会で話をさせてもらったところ、資生堂の役員の女性が、過労死できるほど仕事に夢中になれる人がうらやましいという趣旨の発言をされました。あきれてしまいましたが、そうした人が役員になるような会社はどんな奇麗事を並べても信頼できません。

過労死やメンタルヘルスを解決するのは、やはりワークスタイルの文化を変えることです。ワークシェアリングを導入するだけで事態は変わるでしょうし、会社の従業員が会社以外の活動拠点をもう一つ持てば状況は変わります。

私たち一人ひとりが自分のワークスタイルを真剣に考えることはもちろん大切ですが、しかし実際には仕事のない人もたくさんいます。そうしたことも踏まえて、仕事のシェアの仕方や仕組みを考えた政策や企業の人事システムを考えることが必要でしょう。とても面白いテーマです。その基本は、人のつながり(関係性)です。
しかし、いまはまだ、人事活性化と称して、組織視点での人事制度の検討が行われています。個人起点での発想転換をしなければ、結局は企業をだめにしていくように思うのですが。

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