■お金がお金を生み出すことへの疑義
投資サービス法がつくられ、預金を除く金融商品への消費者保護が来年の国会に提出されることになりました。政治家の都合による郵政民営化法に膨大な時間をかけるよりも、こうした私たちの生活につながり、しかも切実な問題の議論をしてほしいと思います。早くても施行は2007年夏だそうです。それまでの間にもいくらでも手は打てるでしょうに。
それに、この問題は単なる消費者保護だけの問題ではありません。新聞によれば、お年寄り保護が主眼のようですが、そうではなくもっと抜本的な検討がされるべきです。
私のところにも金融商品や商品投機の電話がかかってきます。明らかに演出している電話もありますが、そうした電話には、相手に「仕事を変えたほうがいいですよ」と余計なお世話をしていました。最近はもうやめましたが。
若いと思われる人からの電話が多かったのですが、この延長に、振込み詐欺があるように思います。つまりその仕事を通じて、若者の仕事観が毒されていないとはいえません。
商品投機が悪いとは言いませんが、それは業界内の仕事であって、一般に広げるビジネスではないように思います。ワンクッション置くべきです。
それは外貨預金にも言えることです。儲け主義の銀行が市場を拡大したのです。
残念なことですが、私の住んでいる我孫子市で、水道局が2億円のお金を外貨預金し、1100万円の為替差損を出してしまいました。市長が、自らと水道事業管理者に賠償請求することになりましたが、これは非常に大きな問題です。経済的な問題ではなく、考え方の問題であり、モラルハザードにつながる問題です。
私は我孫子市の市長の言動にとても共感していますし、我孫子市は今の市長になって大きく変わりだしました。それだけにこの問題はとても残念です。ちょっとした常識があれば、食い止められたことなのです。おそらく市長もしくは水道事業管理者に適切な相談相手がいなかったのでしょう。
お金がお金を生み出すことに依存してはいけません。
銀行の利子がゼロなのは健全なことだと私は思います。日本の銀行が健全でないのは、預金利子はゼロで貸付利子は高く、しかも手数料による不労所得が高いことです。それにミッションを忘れていますから、いまや存在価値はありません。国営化すべきです。
価値を生み出すのは、人間の知恵と汗です。
我孫子市では古利根の湖沼の環境保全を目指して、市民債を発行しました。2億円集めました。その2億円で、価値を生み出し、償還するものとばかり思っていましたが、そのシナリオが見えません。今回の事件を知って、いささかの不安を持ちました。単に問題を延ばしただけなのかもしれません。
2億円集めて、新しい事業を始めて、それで償還していくのが普通の発想です。行政はこれまで「コストセンター」でしたので、そうした発想が欠落しているのです。
無尽講の文化を思い出すべきでしょう。理念と循環思想のない市民債は、もしかしたらマイナスかもしれません。安直に市民債を引き受けたことを少し反省しています。
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