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2005/08/07

■民営化コンプレックス 

郵政民営化には私は反対、というとみんなから怪訝な顔をされます。
いつまでにという時間軸を別にすれば、みんな民営化賛成のようです。
今の進め方は強引かもしれないが、小泉首相の時代に民営化しておかねば、もうだれもやれないだろうという有識者や国会議員もいます。不思議なことに、この数日のテレビキャスターの多くもそんなニュアンスが感じられますし、大手新聞の論調はみんな民営化賛成なのだそうです。新聞はいい加減にしか考えていませんし、有識者やキャスターは迎合的ですから、まあどうでもいい話ですが、真剣に考えていると思っていた若手の国会議員までもそういう意見を言うのを聞いていると、民営化コンプレックスの深さを改めて実感します。みんな国家を信頼していないわけです。私のような国家が嫌いな人間よりも、彼らは国家を信じていないのでしょう。そうでなければ、安直に国営よりも民営がいいなどと言うはずがありません。不思議な話です。
なぜ民営化が望ましいことなのか、私には理解できないのです。

私が民営化に反対なのは、官と民の構造がそのままでの民営化は、開かれた私有化よりも危険だと考えるからです。いうまでもなく、「官」とは統治するものであり、「民」とは統治されるものです。つまり上下関係の構造なのです。民に任すとは責任を曖昧にすることでもありますし、利益配分を統治者もしくは経営者に集中させると言うことです。地方分権が中央集権の延長であるように、民営化とは権力集中の延長のように思えてなりません。それを避けるためには、官のガバナンスを変えなければいけません。そこには「共」という概念が出てきます。民営化でも国営化でもない、ガバナンスの仕組みがあるはずです。
民営化は、これまで国民の税金を使って作り上げてきた資産利権を一部のものに格安で提供すると言うことでもあります。JRやNTTが高収益を上げられるのはただ同然で膨大なインフラ資産を入手したからです。その上で、利益が上がらない路線は閉鎖したり、ただ同然のインフラを使ったサービスをかなりの高価格で売り出したりしたわけですが、それは私企業の論理です。それが日本の社会の形を大きく変えたように思います。
税金が節約されたと言う言い方がありますが、それは単に税金の使い方が間違っていただけの話です。その管理と是正の仕組み、つまりガバナンスの仕組みがなかったわけですが、民営化によって、ますます実態は見えなくなるでしょう。民営化されたら、その使い方も評価できませんし、経営の基準も変わるのです。カネボウを考えればよくわかることです。
ちなみに、民間活力の導入と民営化とは全く違う話だと思うのですが、民活導入には私は当然ながら賛成です。

こうした構造的な問題をもっと整理してほしいですが、それ以上に違和感があるのが、ビジョンやグランドデザインがないままに、効率性や財政問題で民営化が議論されていることです。日本の社会の形は、そんな要素から議論すべきではありません。民営化は手段であって、目的ではないですし、ましてや民営化万能などではないのです。

そうした認識にそって結論された民営化であれば安心ですが、どうもそうは思えません。公社化からさらに民営会社へ。その過程で一体どのくらいの費用が発生するのでしょうか。市町村合併を推進した片山議員には損害賠償を請求したいくらいですが、民営化も膨大な新たな利権と無駄が発生します。政治家が群がるはずです。

こんなふうに考えるのは、あまりに不勉強な結果でしょうか。

解散選挙で、この数か月の政治的空白を解消してほしいと思っていますが、世間の常識はどうも反対のようです。ここでも私の感覚は世間とはずれているようです。困ったものです。

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コメント

 単純に考えて竹中がらみの外資の圧力とかだと思うんですけどね。なんで気付かないんですかね。自民の反対派の人の方がわかってるんではないですか。

投稿: 砂上 | 2005/08/08 20:12

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