■組織起点の時代の政治システムの呪縛
私のホームページやブログの根底には、「組織起点の時代」から「個人起点の時代」へという、社会構造原理の変化という認識があります。それが、私にとっての「コモンズの回復」です。きちんと書いたことがないので伝わりにくいかもしれませんが、その発想の転換をすれば時代は良く見えてきますし、企業も元気になりますし、地域も元気になると思っています。もちろん政治も変わります。
政治システムにおける政党政治は組織時代の発想です。
そろそろこうした政治の枠組みを見直す必要があります。
郵政民営化に反対した人たちは選挙で苦しい立場におかれています。無所属では選挙ではとても不利になるからです。いまの選挙制度は、まさに組織起点でつくられています。
組織とは何でしょうか。
一人ではできないことを実現するために、みんな組織をつくります。
組織はあくまでも「使い込むための仕組み」です。
ところが組織の恐ろしさは、組織には権力を集中させる性質があることです。
その結果、組織がメンバーを使い込むようになることなのです。
企業がその典型で、組織に雇用されたメンバーは組織に忠誠を尽くさないといけないという意識を育てていきます。そして最悪の場合は、組織のために過労死したり自殺したりするところまで行ってしまいます。そして結果的には、その組織自体を朽ちさせていきます。
忠誠心を育てる仕組みは組織には内在されていますが、その基本はメンバーにメリットを与えることです。企業でいえば、給料であり、名誉であり、小さな権力です。
英霊信仰の靖国や思考停止の君が代斉唱は、国家にとっての忠誠心育ての仕組みです。年金や健康保険などの社会保障システムもその一つです。
政党では公認とそれに伴い応援体制と資金提供が、その仕組みです。
自民党にみんながしがみついているのは、自民党が一番、参加のメリットが大きいからでしょう。そこには財界も法曹界も教育界も医師会もマスコミも、巨額資金と便宜を提供しています。もちろんそれ以上のものを自民党という組織を使い込みながら、獲得できるからです。この仕組みはそう簡単には壊せません。利益を得ている人たちが余りにも多いからです。
その構造を壊すのが、構造改革です。
しかし、実際には組織に立ち向かって勝てる見込みはほとんどありません。
次元が違うからです。
郵政民営化法案反対派の人たちが、結局は新党を作らなければいけなかったのは、実に象徴的です。彼らは組織起点の発想の世界に生きていますから、できた組織も組織起点のモデルです。新党に参加しなかった人は、自民党とのつながりを維持したほうがメリットが大きいのでしょう。規模の利益の信仰の呪縛から、みんな脱却できません。それは選挙民も同じなのです。
対する野党も、みんな組織起点で考えていますから、新党へのコメントも政党に雇われている人の発言に聞こえます。大きなビジョンを感じられません。
政党のために言動するのではなく、ビジョンのために言動する政治家にはなかなか出会えません。もちろん官僚にもいえることですが。
タレント族の政治参加は、自民党を壊す前に政治を壊すかもしれません。
選挙日が9.11というのは、ちょっと気になる符合です。
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