■住民たちが行政を使い込む時代が始まりそうです
滋賀県の琵琶湖の内湖に、西の湖というのがあります。そこで活動している丹波道明さんは私の東レ時代の最初の上司です。私より一回り上ですが、会社を辞めた後、地元に戻り、そこで実に楽しそうに地域活動をされています。あまりに楽しそうなので、昨年、寄せてもらいました。
その丹波さんから「西の湖美術館構想」なるものが送られてきました。
その内容はまたCWSコモンズのほうで紹介させてもらいますが、この構想は、丹波さんたちが呼びかけて設立した「西の湖保全自治連絡協議会」という住民グループで作り上げたものです。
丹波さんはその組織の事務局長ですが、自分たちのまとめた「西の湖美術館構想」を、西の湖のある近江八幡市と安土町の自治会長、首長や役場の関連部署、地域振興局などの行政に検討を依頼する書状を出したのです。
その構想(計画)案は、私も読ませてもらいましたが、A4版で16ページにもわたるもので、ビジョンも具体性もある実践的な計画です。しかも、そこに住民たちのざわめきが聴こえるような生き生きしたものです。丹波さんからはちょっと褒めすぎだぞ、と言われましたが、私にはそう感じました。
私が一番感激したのは、住民たちがまとめた計画を行政や自治会の責任者に送って、期限を明示して意見を求めたことです。
行政のパブリックコメントなどの形だけのものではありません。送り状には匿名の「役職名」ではなく個人名が明記されていますし、丹波さんのことですから、きっと意見の督促もすることでしょう。
ベクトルが逆転してきたのです。私が目指すスタイルです。当然ですが、ベクトルが逆転すると行政の縦割り組織や自治会の地域割り組織の限界が克服できます。
この手紙を見て、私が感激した理由がわかってもらえるでしょうか。
まあ、今日はこれだけの話です。
しかしそこに含意されるとても大きな予兆を感じてもらえればうれしいです。
ちなみに、私は地元で、ある問題に関連して求められた「意見書」を提出しました。1か月半経ちましたが、返事が来ません。来ないだけではなく、意見をだしたにも関わらず事態がそのまま進んでいます。まだですかと聞いたら、10月28日以降に返事をくれるそうです。
意見の提出先は、行政と住民と社会福祉協議会の三者で作っているある委員会です。市長もメンバーです。我孫子市は、市民参加では先進的だと言われたこともある自治体です。担当課長は、住民視点に立ってしっかりと考えてくれている人ですし、市長も市民派と言われています。これが行政、もしくは市民参加の委員会の実態です。
なぜそうなるのか。答えは比較的簡単です。仕組みが悪いのです。
住民が動かなければいけない時代が来たのです。市民ではなく、住民です。
「西の湖美術館構想」の動きは、そのモデルになるかもしれません。
これからの展開がとても気になります。
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