■企業の社会性は企業規模と反比例しています
昨日、若手の企業経営者たちの研究発表会に参加しました。
老舗企業の後継者たちや自らが起業した企業の経営者たちが、これからの企業や経営のあり方をテーマに1年間勉強してきたことを発表したのです。
経営学の本を切り貼りした言葉だけのものではないかと期待せずに参加したのですが、とても真面目な取り組みで、頭だけではなく身体的に学んできたことを感じさせる、とてもいい発表でした。
その後の懇親会で何人かの人たちと話したのですが、その純粋さと真摯な姿勢に心が洗われる気がしました。彼らの企業は信頼できそうです。
私は最近の企業経営者にはかなりの不信感をもっています。眼が社会や人間を見ていないと思うことが多いからです。それに前にも書きましたが、ノー・ロングタームと脱価値志向が強いことも気になります。会社のためが社会のためではなく、自分のためになっていることが多すぎます。
しかし、昨日懇親会で会った中堅企業・中小企業の若き経営者たち(若くない経営者もいましたが)と話していると、きらきらするような志を感ずるのです。近江商人の「三方良し」の精神が彼らには脈々と流れているような気がして少し感動しました。大企業の人たちとは全くと言っていいほど違います。
企業の社会性は企業規模と反比例している。これが私の20年前からの仮説ですが、一般的な常識では逆のようです。
しかし、常識的に考えればこれは自明の理だと思います。
大企業は反社会的なことを少しくらいしても倒産はしません。地域社会で問題を起こしたら移転すればいいのです。しかし、地域社会と運命を共にしている中小企業や地場企業は地域社会の支援を失ったら倒産してしまうのです。つまり中小企業は「生活」につながっているのです。
社会貢献活動をしているのは余裕のある大企業で、中小企業はそんな余裕もないし、存続だけで精一杯だという人もいます。
社会貢献活動がもし余裕で行うものであればそうかもしれませんが、本業で社会に役立つことこそが企業の社会貢献の本筋であって、利益還元的な社会活動は宣伝活動でしかありません。そもそも「社会貢献」などと自らがいうことの傲慢さを見直すべきです。そこには「生活」とは別の次元で発想している目線の高さを感じます。
ちなみに、個人で行う場合は全く意味合いが変ります。個人活動と組織活動が混同されて議論されることが少なくありませんが、組織活動としての社会貢献活動の意味はもっとしっかりと整理すべきだと思います。
これからの経済の主役になる企業は、決して大企業でないように思います。ここでもベクトルの逆転が予想されます。昨日、中堅・中小企業の経営者たちと話していて、改めてそう思いました。
中小企業が大企業を使い込む時代が来るのではないか。そう考えると、企業買収に取り組んでいる楽天やライブドアなどの戦略の本質が見えてくるように思います。
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コメント
楽天やライブドアは外資の代理で株価操作してるだけですから関係ないでしょう。
投稿: 猿 | 2005/11/15 22:20