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2005/11/22

■姉歯設計事務所が起こした事件

姉歯建築設計事務所による耐震データ偽造の対象物件はまだ広がっています。
この影響は、経済的にも膨大なものになるでしょうが、専門家や検査機関への信頼を失わせたという点での影響もまたはかり知りません。深刻なのは、単なる個人の問題ではなく、システムの問題でもあることです。
もちろん構造設計の責任者である姉歯建築士の責任は甚大ですが、元請けの建築会社や確認申請を審査する検査機関も問題です。そしてそれら全体の、社会的な仕組みそのものが問われています。

最初からとても印象的だったのは、テレビに出てくる姉歯建築士の無表情さです。淡々と事実を語る姿を見ていると制度の一部になった脱価値的な部品ではないかとさえ思えるほどです。人間性を感じさせない不気味さがあります。
データ改ざんという事実には、人間的な価値論があるようにも思いますが、それもコストダウンという、非人間的な目標の前には無力だったということです。これはJR西日本の事故にもつながっています。
問題の本質を見失わないようにしないと、さらに繰り返される事件でしょうし、まだ発覚しないものは山ほどあるでしょう。建築以外でもたくさんあるはずです。

誰にとっても他人事ではない事件であるとともに、社会を持続させていくために最も重要なソーシャル・キャピタルである、信頼関係を損なってしまった事件ですが、逆にこれを契機に、いまの産業の仕組みを根本から見直すことが望まれます。

嫌な言い方ですが、この事件は産業界にとっては事業拡大に通じていくわけですが、そうした産業のジレンマもまた真剣に考えられればと思います。ことの本質は、そこにあるように思います。
システムの設計がたぶん基本的に間違っているのです。
これは郵政民営化にもつながることだと思います。

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