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2005/11/19

■若者への不信感の払拭

とてもうれしい文章に出会えました。
今度こそ、元気が回復できそうな気がしてきました。
出会った文章は「この国にゆくえ」(GRAPHICATION 141)です。
書き手は作家の井出孫六さんです。

井出さんは、若者たちと最近、日本の近現代史の学習を始めたそうですが、
先の選挙が終わった直後に、その若者たちに総選挙についての無記名アンケートを書いてもらった感想を紹介しています。
少し長いですが、引用させてもらいます。
 

無党派の若ものがなだれをうって小泉自民に投票したと、マスコミが伝えているときだったが、アンケートの結果がメディアの推測とかなり隔たっていたのが、わたしにも意外だった。
彼らのおよそ7割が小泉自民の圧勝に不安と憂慮と恐れを示しているが、この7割という数字に彼らの投票行動が示されている。自民支持は2割強といったところだった。
初めて選挙権を行使した彼らにとって、郵政民営化一本にしぼっていった小泉戦略、そこから生じた刺客という名の異形、それを追いかけて飽きることのなかつたメディア、とりわけテレビのあり方は、最初から最後まで異様なものと映っている。

私のまわりにも若者は少なくありません。彼らのほとんどは、小泉自民党には投票していないように私には感じていました。批判的な若者も少なくありませんでした。
しかし、結果は小泉圧勝で、それも若者たちが牽引したとマスコミは書いています。私の周りの人もそういいますし、まわりの学生たちを見てそう断言する若者もいます。
それで私は元気を喪失していたわけですが、井出さんのこの文章に出会えて、マスコミと小賢しい大人たちの無責任な風説の罠に陥っていたことに気づきました。
愚かしいことです。

小泉圧勝は大人たちが主導したのです。マスコミ作戦もそうですが、「見識」ある学者やオピニオンリーダーたちが、無垢な若者を乗せたのでしょう。ヒトラーユーゲントの悪夢を思い出します。安部官房長官の顔がなぜか浮かんできますが。
私のまわりでも、これまで信頼してきた立派な大人たちが小泉自民党に投票しています。それを知った時は愕然としましたが、きっと私たち世代こそが小泉圧勝の原動力だったのでしょう。若者たちを隠れ蓑にしているのです。テレビのキャスターたちは、ほぼ例外なく、小泉圧勝に加担しました。彼らの無意識の中にある好戦的なシャドーが番組に投影されていたのです。一見、小泉批判的な言説を述べている有名キャスターも結局は若者を隠れ蓑にしたとしか思えません。彼らができたことはたくさんあるのですから。

若者は信頼できる存在です。いや若者を信頼せずに、未来が開けるはずはありません。
信頼できないのは、有識者とテレビ政治タレントです。

井出さんは、その学習会を始めた時に、ドイツの元大統領ヴァイツゼッカーの文章をみんなに紹介したそうです。「荒れ野の40年」からの一文です。孫引きさせてもらいます。

問題は過去を克服することではありません。さようなことができるわけはありません。後になって過去を変えたり、起こらなかったことにするわけにはまいりません。しかし過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険に陥りやすいのです。

日本の政治家やその取り巻きの学者たちに、これほどの知性があるでしょうか。彼らの私欲のほんの一部を、知性の世界に置き換えてもらえれば日本は変るでしょう。しかし、彼らは前の戦争の時もそうだったように、相変わらずに現場(戦場)の彼岸にいます。現場の実感を持たなくともやっていける安全地帯にいるのです。

井出さんはこう書いています。

日本の若ものの大多数が中学・高校時代に日本史を暗記課目として押しつけられ、近現代史にいたっては全く触れる機会もないままに社会に押しだされてきてしまうところに、今日の歴史意識の稀薄な荒野の広がりが生まれてしまったのではないだろうか。

町田外相がもらした本音を思い出しました。

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コメント

読んだ本を直ぐに間に受けなさるのですね。そして常に悪者を探さずにはいられない。
どんな学生にアンケートをとったかが問題でしょう。殆どの若者は近現代史など勉強するはずがないし、共産系の学生や作家だったらどうなるかはわかりきったことでしょう。

投稿: ジョン | 2005/11/19 22:48

ジョンさん

そうなのです。
すぐ影響を受けるのです。
困ったものです。
自分が無いのかもしれません。

常に悪者を探さずにはいられない、
ということも悪癖ですね。
これは考え直さねばいけないと思いました。
ありがとうございました。

といいながらも、やはり、若者の素直さへの確信は戻ってきました。

>殆どの若者は近現代史など勉強するはずがない

ではなく、勉強するようになる状況をつくれればいいと思います。
とても面白いのですから。

投稿: 佐藤修 | 2005/11/20 07:43

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