■現行犯なのになぜ「容疑者」なのか
気になる表現が多いことはこれまでも何回か書いてきました。
繰り返しになりそうですが、やはり気になるので書きます。
8日に千葉県佐倉市で警察官2人が殺傷された事件ですが、現行逮捕にもかかわらず、新聞では「容疑者」と書かれています。いつもこうした表現が使われますが、現行犯であれば、容疑者ではなく犯人ではないかと思います。裁判で刑が決まるまでは容疑者なのでしょうが、一般的な常識にはどうもなじめません。
人権擁護の問題があるのでしょうか。冤罪の可能性が皆無ではないのでしょうか。
今の社会は犯罪が激増し、容疑者の拘留所も捜査も裁判も現体制ではとても対応できないほどだという話をよく聴きます。ですから予防措置で警察に保護や捜査を依頼しても相手にしてもらえずに、結果的に悲劇につながるケースが起こるわけです。
今回の殺傷事件も新聞によれば、事前対応が可能だったようです。
なぜそうなるのか。
形式的な人権保護と画一処理の結果ではないかと思います。
すべては手続きの公正性と客観性と効率志向が、実は結果として、実態としての不公正と恣意性と無駄の発生を引き起こしているのだろうと思います。今のままでは警察官は浮かばれないような気がしてなりません。
現行犯逮捕者は犯人でいいでしょうし、事実の究明と裁判の判決・執行とは切り離していいでしょうし、死傷に関する明白な犯罪に関しては簡単な手続きで対処すべきですし、受刑者は自らの裁判にかかった費用を個人で償うためにも働くべきですし、原則として裁判は1年で終了すべきですし、・・・・ きりが無いですが、検討すべきことはたくさんあります。
判決文を日常語にして分かりやすくするのもいいことでしょうが、そのまえにもっと見直すべきことがあるような気がしてなりません。
また暴論を書いたのでたたかれそうですが。
| 固定リンク
「司法時評」カテゴリの記事
- ■国家が人間をどう捉えているかを象徴するのが「死刑制度」(2022.11.11)
- ■ウクライナ戦争を止めたかったら、まずは日本の死刑制度を廃止すべきではないか(2022.07.27)
- ■原発事故の損害賠償を受ける覚悟があるのでしょうか(2022.07.13)
- ■責任までも民営化される時代(2022.06.18)
- ■第1回リンカーンクラブ研究会報告(2021.09.06)
コメント
逃亡してからつかまったので現行犯とはいえなかったのではないですか
投稿: 所沢 | 2005/11/13 00:01
所沢さん
ありがとうございます。
新聞には「現行犯逮捕」と明記されていました。
検問逃走後、止まったところで発生した殺傷事件だったので、現行犯となったのだと思います。
裁判前はみんな容疑者とするいうことになっているのだろうと思います。
投稿: 佐藤修 | 2005/11/13 07:35