« ■人口が減少するということ | トップページ | ■「あなたの暮らしがよくなれば、それだけ石油の消費量が多くなる »

2005/12/17

■日本の建築の考え方

昨日、「ごみの増加は豊かさの高まりではなく、不幸の増加なのです」と書きました。
「ごみ」には、その社会の本質が象徴されます。ごみのあり方やごみの処理の仕方を見れば、その社会が見えてくるでしょう。私の友人の環境クラブの増山さんが、生活者による「ごみ白書」づくり活動を提唱していますが、それが実現すれば、社会は一変するでしょう。そうした本質的な取り組みには行政は関心を示さないのが残念です。

日本の産業廃棄物で圧倒的に多いのが建設関係の廃棄物です。そして住宅の立替年数が30年未満なのも日本の特徴です。建築業界が一時期、100年住宅を話題にしていましたが、あれはその後どうなったのでしょうか。
商業施設は多くの場合、短期決戦で、5年以内に設備費も含めて回収する発想が多いと思います。なかには2年で回収などと言うのもあるでしょうが、建物はすぐ取り壊しできるように安価であることが求められます。
住宅も施工期間が短いほどコストダウンになると言われますが、それはすべてのコスト計算のベースが工期に依存するような仕組みになっているからでしょう。短すぎるためにシックハウスのような問題も起きていますが、引渡し後に発生するコストはどんなに高価であろうとメーカーには関係ないのが今の仕組みです。買い手もそれもまた購入価格につながっていることをあまり意識しないことが多いのです。

昨日の書き込みの補足なのですが、こうした日本の建築観がいま話題の耐震偽装事件の根底にあるように思います。問題は決して姉歯さんだけにあるのではありません。私たち生活者も含めて、社会の文化にあるように思います。
もちろん、だからと言って、この事件を正当化したり、責任を曖昧にしようなどというのではありません。その責任はしっかりと明らかにされるべきです。
しかし、それと同時に、これを機会に私たちの購買姿勢や消費姿勢を見直すことも大切なのではないかということです。
耐震偽装事件は、決して私たちの生き方と無縁ではないのです。

|

« ■人口が減少するということ | トップページ | ■「あなたの暮らしがよくなれば、それだけ石油の消費量が多くなる »

経済時評」カテゴリの記事

コメント

戦災にも遭わず、天災も少ない我が街でも爆撃にも等しいすさまじさで蔵や古い洋館などの歴史的建造物が日ごとに消滅して駐車場やマンション敷地と化しているのを見て、自分の体が切り刻まれているような辛い思いをしております。
私のブログでも時々古い建物や失われた建物のことを写真で紹介しております。是非ご覧ください。

投稿: rekishi-huukei | 2005/12/19 23:33

コメント、ありがとうございます。
サイトも見せてもらいました。
山形なのですね。
山形にはとてもいい蔵も多いですね。

今日はこれから出かけるので、また改めてじっくり読ませてもらいます。
とても魅力的なサイトですね。

投稿: 佐藤修 | 2005/12/20 07:57

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« ■人口が減少するということ | トップページ | ■「あなたの暮らしがよくなれば、それだけ石油の消費量が多くなる »