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2006/01/21

■NPOと企業のコミュニケーション

この5年、NPOと企業の世界に並行的に関わりながら、そこを win-win でつないでいくメディエーター役が果たせないかと考えています。
視点はもちろんコモンズ(社会)です。
現在の企業にもNPOにも大きな違和感を持ちながらの活動なので、それぞれを革新するような契機を意識しています。ただつなげれば良いわけではありません。そういう活動はたくさんのNPO中間組織やコンサルタント会社がやっていますので、私には全く興味がありません。
社会のリフレーミングにつながらなければ、
あるいは昨今のような金銭経済至上主義からの離脱につながらない限り、
NPOががんばってもほとんど意味がないというのが私の意見です。
しかし、残念ながら時代の方向は必ずしもそうはなっていません。
ところで、時々、NPOから企業の支援要請があります。新しい物語が生まれそうなものは企業にも働きかけることがあります。
今回もあるテーマで企業に支援を頼んだところ、次のようなメールが来ました。

正直、様々なNPOからの支援要請が毎日の様にあり、基本的には判断が難しく対応出来ていない現実がありますが、佐藤さんが関係しているということであれば是非一度関わりを持たせて戴きたいと存じます。

とてもうれしいメールです。
この会社は理念がしっかりしており、社会性の高い企業文化を持っているところです。だからこそNPOからの要請も多いのでしょうが、こういう会社にしても、なかなかNPOはつかみにくいのが現実です。
むしろNPOへのアレルギーを持っている企業のほうが圧倒的に多いでしょう。
企業の経営幹部の人とはかなり付き合いがありますが、なかなかNPOの実態は伝わっていないような気がします。その責任の過半はNPO側にあるように思いますが。

どちらに問題があるかはともかく、NPOと企業のコミュニケーションはまだあまり成り立っていないのが現実です。
上記のメールのように、間に誰かが入ることでやっとつながるのです。
会社の中にいる人にとっては、そもそも論理が違うこともあり、実態はつかみにくいでしょうから、基準を「紹介者」に置きたくなるのはよくわかります。
しかしこれがまた曲者です。
私だからといって信頼はできません。

私はかなりNPOと企業の双方の実態を身体的に知っていると自負しています。そして、今はあるビジョンにしたがって、社会も含めた「三方良し」の基準で動いていると自負しています。その評価眼にもそれなりの自負があります。今は少なくとも、利得を得ようなどとは全く思っていません。
しかし、それは私の独り善がりでしかありません。
いつ変節するかわかりませんし、評価眼が維持できるとも限りません。
個人を介することには怖さがあります。

もうひとつのよくある形は、トップとのつながりです。
これがとても多いですが、残念ながら日本の企業のトップが付き合う世界はそれほど広くはありません。
ある人が取り入って、利己的に動くこともないとはいえません。
その結果、かつての企業メセナ活動のようなひどい話になってしまうのです。

私自身は、企業とNPOとの付き合いから生まれる社会的価値はとても大きいと確信しています。
その前提には、社会のビジョンへの関心と共有できる価値がなければいけませんが、逆にNPOと企業が付き合うことの中から、そうしたビジョンや共有価値が育っていくように思います。
昨今のような経済状況の中ではこうしたことは難しいですが、CSR報告書の作成費用の一部をそうした活動に向けるだけで、小さな一歩は踏み出せるかもしれません。

今年から、私もこうした活動に少し踏み出そうかと思い出しています。
まだ少し早いかもしれませんが、考え出してからもう20年がたちました。
そろそろいい頃かもしれません。

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