« ■幸せな人生と幸せな時代 | トップページ | ■生きることの意味を時々考えると人生は変わるかもしれません »

2006/01/18

■平和のためのコミュニケーション学

先日、「平和のための経済学」という本をCWSコモンズで紹介しました。
その時はあまり意識しなかったのですが、あえて著者が「平和のための」と銘打っているということはこれまでの経済学は何のための学問だったのだろうかということです。実はこれに関しても、この本で著者の川本さんはきちんと考えを説明していますが、この数十年、学の目的が揺らいでいることは間違いありません。そのためにさまざまな醜聞も含めて、学の世界はおかしな状況に向かっているように思います。そこをしっかりとしない限り、教育改革などは実際にはできないはずですが、最近は「ともかく改革」という風潮が広がっていますので、学の目的などは多くの人には興味のないことかもしれません。目的が曖昧な改革は誰かに利用されるだけなのですが。

ところで、たまたま最近、平和に関するメーリングリストで面白いやりとりがありました。面白いといっても内容ではなく、あるテーマに関して議論が始まったのですが、だんだん議論が感情論になってしまい、メールのやり取りをすればするほど、関係者の溝が深まり広がってしまうような状況が生まれたのです。
平和に関するメーリングリストのメンバー同志だったので、ぎりぎりのところで対話が成立し、結果的には相互理解が深まる結果になりそうですが、そこで飛び交った「言葉」はかなり厳しいものがあり、横で読んでいてはらはらしてしまいました。
コミュニケーションにも「平和のためのコミュニケーション学」が必要だと思いました。
しかし、コミュニケーションとは相互理解を深めることですから、本来、コミュニケーションの目的は平和状況の創出であるはずです。にもかかわらず、コミュニケーションは必ずしも平和にはつながらないということを垣間見たわけです。
それはコミュニケーションが成り立っていないだけの話だろうといわれそうです。確かにそうですが、しかし現実にはそうした「コミュニケーションが成り立っていないコミュニケーションまがい」が世の中には横行しているように思います。ここでも「コミュニケーション」とは何かという問題がポイントになりますが。

古い話ですが、東西冷戦時代に「エスカレーション理論」というのがありました。ハドソン研究所のハーマン・カーンが主張した核抑止力理論です。相手よりも大きな核戦力を持てば、相手が攻撃してくるのを防止できる。これが米ソの核戦力競争になっていき、どんどんと核戦力規模はエスカレート(拡大)していくわけですが、それをどう効果的に洗練させていくかが、コミュニケーション研究の目的だったわけです。
この考え方は、国際政治だけではなく、国内政治はもちろん、たとえば企業広告の世界でも重視されていたと思います。
ところが、これとは全く発想の違うコミュニケーション理論もあります。
コミュニケーションの出発点は自らの弱みを見せることであるという発想、あるいはまず自らが相手を信頼して共通のビジョンに向けて一歩踏み出すという発想です。国際政治の世界でいえば、オスグッド理論というのがあります。一方的削減(オスグッド理論)による軍縮である。まず自らが軍縮することにより相手からの信頼を高め、相手の軍縮を引き起こすという、一方的削減、つまりデスカレーション理論です。
平和に向けてのコミュニケーション戦略もベクトルの異なる二つの戦略があるのです。これは企業広告の世界でも同じです。これに関しては、「企業変革のためのコミュニケーション戦略」に以前少し書きました。そこでは「コミュニケーションとは何か」に関しても私見を述べています。

長くなってしまいましたが、最近のさまざまなコミュニケーション状況を見ていると、相手を支配する「暴力的なコミュニケーション」が重視されてきているような気がしてなりません。
平和のためのコミュニケーション学。そんなことをきちんと考えている人があれば、ぜひ教えてくれませんか。面白いテーマなので、どなたか研究会をやりませんか。

|

« ■幸せな人生と幸せな時代 | トップページ | ■生きることの意味を時々考えると人生は変わるかもしれません »

平和時評」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/30899/8215001

この記事へのトラックバック一覧です: ■平和のためのコミュニケーション学:

« ■幸せな人生と幸せな時代 | トップページ | ■生きることの意味を時々考えると人生は変わるかもしれません »