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2006/01/01

■変えるべきものと守るべきものを見分ける知恵

年末に読んだ「キリストの勝利」に出てくる、シンマクスの話がとても気になりながら、年を越しました。昨日、書いたようにクイントゥス・アウレリウス・シンマクスはキリスト教の国教化に伴い、異教が排斥され、かつての神殿や神像が破壊されることに異議申し立てした人物ですが、当事の流れから見れば、時代の変革を止めようとするアナクロニズムとみられる活動だったかもしれません。背教者ユリアヌスもまた時代の流れを戻そうとした一人です。

バーミアンの仏像を破壊したことを怒る人がいますが、そのような愚挙は歴史にはいくらでもあります。すべてが「変革」の大義で行われています。日本でも廃仏毀釈はそう昔のことではありませんし、今なおそのような愚挙はさまざまなところで見られます。

初詣に近くの神社をまわりました。
穏やかな雰囲気の中で、昔からの光景がまだ残っているのがうれしいです。
しかし、いつまで残れるでしょうか。

私はキリスト教には共感を持てませんが、アメリカの神学者、ラインホルト・ニーバーの祈りの言葉には共感を持ちます。4世紀のローマが、もし違った選択をしていたらと思わずにはいられません。

神よ
変えることのできるものについて
それを変えるだけの勇気を与えたまえ
変えることのできないものについては
それを受け入れるだけの冷静さを与えたまえ
そして
変えることのできるものと
変えることのできないものとを
見分ける知恵を与えたまえ

変革はしっかりした基軸があればこそ、意味を持ちます。
「見分ける知恵」は、そこから生まれます。
変えるべきものと守るべきものを間違えてしまうと、社会は瓦解します。
展望と理念のない変革は、ただの破壊でしかありません。

私たちもいま大きな歴史の岐路にいるように思います。
そしてローマと同じ繰り返しをしているような不安があります。
今年は生き方の基軸を改めて大切にしたいと思います。

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