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2006/02/10

■横浜事件判決とリーガルマインド

私は高校生の時に、検事になりたいという思いが強く、法学部に入学しました。
そこで学んだのは「リーガルマインド」です。
私にとっての「リーガルマインド」とは法の精神であり、その法律もしくは制度が目指している価値観を判断基準にして、法律や制度を活かしていくということでした。
ところが最近、私の理解はどうも極めて特殊だったのかと思わざるを得ないことに気づきました。
先月の同窓会で、この話を少ししましたが、誰も反応しませんでした。
気になって、いまネットで調べましたが、そこで出てくるのは法の知識を持って行動するような話ばかりです。私の理解とは対極の考えです。
もちろんそうでない話もありますが、そういうものはなかなか見つかりませんでしたし、その書き方も余り明確ではありません。
司法の世界もいまや行政府とそう変わらないのではないかと言う気さえします。
三権分立は形骸化してしまっているのでしょうか。

昨日、戦時下最大の言論弾圧事件といわれる横浜事件の再審判決がありました。
今朝の新聞に大きく出ているので、お読みになった方が多いと思いますが、日本の司法界の本質を現出させる判決だと思います。
判決は「免訴」でした。やはりそうか、という気がしました。
このブログでも何回か書いていますが、私は日本の司法界に対する信頼を最近は持てずにいます。あまりにも納得できない事例が多すぎます。
今回の判決には、少し期待を持っていました。地裁判決ですから、
しかし、今回もまた失望しました。
もしかしたら日本の司法界はまだ戦前のパラダイムで動いているのかもしれません。
なにしろ国家の枠組みが変わったにもかかわらず、彼らは何のお咎めもなく自らを継続してきた人たちなのです。
彼らに良識(リーガルマインド)を期待するのは無理なのかもしれません。

横浜事件は、19942年から終戦直前にかけ、出版関係者など約60人が「共産主義を宣伝した」として治安維持法違反容疑で逮捕され、拷問で4人が獄死。終戦直後の1945年8~9月に、約30人が横浜地裁で有罪となった事件です。
元被告らの再審請求を受けて、2005年、東京高裁は拷問の事実を認定し、「自白の信用性に顕著な疑いがある」として再審開始となりました。
公判では、元被告の遺族(元被告はすでに全員死亡)が「十分審理をせず有罪を言い渡し、再審請求を退け続けた司法の責任を認め、謝罪してほしい」と訴えていました。
それに対して、昨日の判決では、無罪か有罪か判断せずに裁判を打ち切る「免訴」判決を言い渡したわけです。自らの責任にはほとんど言及していません。
私が一番残念なのは、裁判官のリーガルマインドを微塵も感じられないことです。
判決は、責任回避の手続き論であり、人間としての心が感じられないのです。
心が入らない法の適用は、問題の本質的な解決にはつながらない気がします。
明白な事実を認めながら、無罪宣言をしない裁判官とは一体何なのでしょうか。
こうした卑劣な言動が最近の日本には多すぎます。
手本が多すぎるので、社会に蔓延してきているのでしょうか。恐ろしい話です。

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