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2006/02/09

■北朝鮮との「国交正常化」って何でしょうか

今回の日朝協議もほぼ成果なしの結果に終わったようです。
私自身はこの交渉の基本枠組みに間違いがあると思いますので、こうした場をいくら持っても問題は解決しないと思います。そろそろそうしたパフォーマンス外交は正すべきでしょう。

それにしても、いつも思うのは「国交正常化」とは何かと言う疑問です。
国交とは「国家」の交流を指すと考えていいでしょうが、国家とは何か、です。
あるいは国交正常化は何のために必要かです。
これについて書き出すと、たぶん1冊の本ができるでしょうが、ここでは両国の国民が今よりも暮らしやすくなるということを目的におきたいと思います。

国民主権国家時代の外交は、そうしたことが目的でなければならないと思います。
ところが世界にはまだ国民主権国家でない国歌がいくつかあります。
北朝鮮はそのひとつと言っていいでしょう。
しかも北朝鮮では、他国の通貨の偽造、麻薬の産輸出、無垢の外国人の誘拐などを国家事業として展開している国です。
そこにおいては、おそらく国民の意思は踏みにじられ、時に虐殺と拷問が繰り返され、それがゆえに命がけの国家らの脱出が繰り返されているわけです。
これを「国家」というべきかどうか、私は迷いますが、いわゆる近代国家とはかなり違った組織ではないかと思います。
もちろん、近代国家にしても実に多様であり、一概には言えませんし、以前も書いたように今の日本は北朝鮮との類似点が非常に多いのも事実です。
しかし、現在の北朝鮮は明らかにその異常性においては閾値を越えています。

いま、必要なのは国交正常化ではなく、北朝鮮の国家正常化なのではないかと思えてなりません。
日朝協議も果たして国家協議でしょうか。
金正日体制と小泉体制の協議でしかないのではないか、そう思えてなりません。

以前、ODA議論で、途上国の現体制に経済支援すればするほど、その国家で抑圧されている国民たちはますます圧迫され、権力構造を確たるものにしてしまうというような議論がありました。
いまの人道支援を大義にしたアフガンやイラクの支援にも言えることです。

北朝鮮との国交正常化は、北朝鮮の現体制を承認することに他なりません。
いいかえれば拉致事件を追認し、麻薬販売を承認することにならないでしょうか。
それにそんなことをやる体制となぜ交流をしなければいけないのか。
正常化すること自体に矛盾があるのではないか、つまり正常化がその上の次元にある関係性の健全性を破壊するという意味です。
たとえは悪いですが、犯罪者と友人になることで、犯罪者の犯罪を支援することに似ています。
犯罪者ではなく、被害者と友人になって、一緒に犯罪者を正すことでしょう。

正常化すべきは、北朝鮮の国家のあり方です。
その働きかけがない正常化交渉は意味がないばかりか、相手の行動に加担することでしかありません。
だから「拉致問題の解決なしに国交正常化はありえない」と言っているではないかと言われそうですが、
拉致問題の解決なしに「協議」そのものが成り立たないはずです。
むしろ非条理な北朝鮮とは国交断絶し、
協議に向けるエネルギーと税金を脱北者支援活動に向け、
北朝鮮の国家正常化に協力すべきだろうと思います。

国家は金正日や小泉純一郎のためにあるのではありません。
額に汗している国民のためにこそ、あるのです。
そうでない国家は不要ですし、そんな国家と関係を正常化する必要はありません。

こうした議論にかなり危険な思想が含まれていることは承知していますし、
論理展開が粗雑なのも自覚していますが、
国交正常化とは何かを、一度しっかり考え直す必要があるのではないかと思います。

ちなみに、国家のレベルで考えるから難しいのですが、
もし隣家に幼児虐待と誘拐犯があったとしたら、皆さんはそこの家と付き合いを正常化したいと思いますか。

問題を身近な問題に置き換えると、事の本質が見えてくることもあります。

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