■住民投票に耳を傾けない政府とは何なのでしょうか
米軍機移駐問題で岩国市の住民投票が行われました。
さまざまな利害の錯綜と中央政府からの圧力などで、住民投票ボイコットの活動も展開されましたが、投票率は58%を超え、住民投票は成立しました。
反対者が87%を占めました。
この住民の意思に対して、政府はむしろ「遺憾」の意を表しながら、計画変更はしない旨を発表しています。
政府には民意を聴く姿勢は無いのです。
せめて話し合いをすべきですが、計画を変更しない前提での話し合いは話し合いとはいえません。
この件では違和感を持つことがとても多いのですが、そのいくつかを書いてみます。
まず、政府が最初から言っている「国の安全保障に関する問題は住民投票に馴染まない」ということです。
読売新聞の記事によれば、拓殖大学の森本敏教授は、「市町村のゴミ処理をどうするかは、その自治体で決めるべきだが、国の安全保障問題は、1自治体の住民投票にはなじまない」といっています。
私には納得できない発想です。
いずれも「国家の安全保障」しか考えておらず、国民の生活の視点がありません。
発想の起点で、手段と目的を履き違えています。
会社を守るために誰かをリストラさせるという発想と同じです。
結局は自分さえ良ければいいのです。典型的なコラテラル・ダメッジ発想です。
それに加担する学者は御用学者としか言いようがありません。
森本教授がもし岩国に住んでいても、そういったでしょうか。
他人事で発言する人の言葉にはいつも反発を感じます。
自民党の山崎拓議員は、市町村合併のため、住民投票の効力が1週間しかないことを指摘して、「種々の疑問がある」と言っています。
その市町村合併という、私には日本の自治体を台無しにした悪政を推進してきた片山議員は「一種の地域エゴだ」と語ったそうです。
要するに、自分たちの考えに反対する意見は住民エゴと片付け、効力が無いから住民意思を明確にすることは無意味と言うのです。
つまり、無知な住民は黙って従えといっているわけです。
国民から選ばれた代議士でしかない「分際」で、何を馬鹿なことを言っているのかと驚きますが、権力者になった勘違いから、はなから国民の意見を真剣に聴いて、行動する姿勢が無いのでしょうか。
そうした発言に、今の国会議員や政府の本質が見えてきます。
信じられないことですが、岩国の住民からも、「移駐計画は国の専管事項で、住民投票条例にはそぐわない」という声が上がっているそうです(読売新聞社説)。
国からの赤紙1枚で戦線に行けといわれても、それは国の専管事項だからと戦場に赴くのでしょうか。
国民主権ということをどう理解しているのでしょうか。
書いているうちに、ますます気分が暗くなってきたので、もうやめます。
しかし、毎日のように、こうした報道に触れていると健康によくありません。
テレビのナンセンスなトーク番組だけをみていたほうが楽しい人生になるのかもしれません。
パンとサーカスの政策はますます深化しているようです。
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