■個人情報保護に関して思うこと
個人情報保護ということが盛んに言われだしています。
私は今、自治会の会長をやっていますので、名簿の扱いにはいろいろと注意しなければいけませんが、しかしとても不便なことが多いです。
いささかばかげている話も少なくありません。
自治会の住民の名簿を、市役所から提出を求められるのですが、市役所は使用目的を限定した上で提出したことを承諾したという書類を会長である私に求めてきます。
いかにもお上的な責任逃れを我孫子市役所はしているうえに、その承諾書のスタイルが不備な気もしましたが、我孫子市役所と議論してもらちがあかないことを体験したばかりなので、従うことにしました。
まあこうして住民自治はだめになっていくのだと反省はしていますが。
地域の小学校で安全パトロールをボランティアに依頼していますが、名前だけで住所も電話もおさえていないので、本人の了解を得て住所と電話を教えてくれないかと学校から連絡がありました。
これにも唖然としました。
所在もわからない人に安全パトロールを依頼しているほうが安全ではないように思いますが、個人情報保護法の関係で最初にきちんと把握できなかったようです。
笑い話のような話ですが、これが現実です。
私のオフィスは文京区にあるのですが、その所管の東京電力の支社から「お客さま個人情報の紛失について」という連絡が封筒で届きました。
検針用携帯端末が紛失する事件が起きたようです。
こんな連絡をもらっても個人としては何の意味もありません。
こうした連絡をするコストの分だけ電力料金が高くなるですから、意味のない連絡はしてほしくないですが、これも責任回避のためのものなのでしょう。
個人情報保護法によって、どれだけの社会コストが発生したのでしょうか。
その分、新しいビジネスが発生したという意味では経済効果はあったのかもしれませんが、社会的費用は間違いなく高まっています。
経済行為には、実体価値を創出する部分と実態価値には無縁、もしくは消費する部分があります。
これに関しては「脱構築する企業経営」で論じたことがありますが、これまでの経済はマイナス価値もプラスにカウントする仕組みになっています。
ですから、環境産業が経済成長を牽引するなどという発想が出てくるわけです。
これからの経済は、実体価値を減少させるか、無縁なものは、カウントしない仕組みにしていくべきではないかと思います。
ソーシャル・キャピタルをベースにして、経済を再構築する動きは出てこないものでしょうか。
ちなみに、個人情報保護に関しては、個人情報の悪用に関する厳罰こそが大切だと思います。
最近の法の発想は効果よりも形式や市場拡大の視点から考えられているように思えてなりません。
リサイクル法などはその典型例です。
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