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2006/06/04

■「悪しき企業の経営」モデル

NPO学会の大会が新潟でありました。
私は学会メンバーではありませんが、コムケアのパートナーである住友生命の井上さんからコムケアの体験を発表するのでセッションに参加するように連絡がありました。
コムケアは井上さんのおかげで実現した仕組みですから、参加しないわけにはいきません。30分のセッションのために2時間かけて新潟まで行きました。
この学会には友人知人がたくさんいます。私の参加したセッションにも数名の知り合いの顔が見えました。私は発表してすぐ退室したので、残念ながらお話はあまりできませんでした。
発表で余計な修飾語をつけてしまいました。それもやや「感情」を込めてです。
事業型NPOが増えていることに言及して、しかし、それらがモデルにしている経営発想は「悪しき企業の経営」をモデルにしているので心配だと発言してしまったのです。質疑応答で思ったとおり質問がありました。「悪しき企業の経営とは何を意味するかお聞きしたい」というのです。余計な言葉は反発を生み、メッセージを拒否されてしまうものです。その経験を私は山のようにしていますが、いまだに治りません。これは一種の病気です。困ったものです。
「悪しき企業の経営」に込めた意味は、金銭経済至上主義の経営です。昨今の企業の経営の多くは、目的と手段が履き違えられています。
最近の村上ファンドやトヨタの経営がその典型です。
また余分な一言がありますね。村上ファンドはともかく、トヨタは入れないほうがいいでしょうね。しかし間もなくトヨタの経営の非人間的な実態は理解されるでしょう。人間を基本にしない経営は手段を目的化した金銭経済至上主義の変形でしかありません。経営の出発点は「愛」ですが、金銭への愛であってはいけません。まあ資本主義とは金銭への愛から始まったのかもしれませんが。
行政でも経営発想が必要だといわれています。
NPOもそうです。
私も同感です。当たり前のことですから。
しかし、昨今の動きには違和感があります。
NPOや行政の経営と企業の経営が違うということではありません。
むしろ私は、いま経営が一番必要なのは企業だと思っています。日本の企業はこの数十年、経営を放棄しているとしか思えないのです。その経営を放棄した企業の行動を「経営」と考えて、NPOや行政が「悪しき風潮」を身につけようとしているのが現状だというのが私の認識です。罪深い経営学者がそれに加担しています。
しかし希望はあります。NPOや町村の中に、しっかりした経営に取り組みだしたところが出てきているからです。そうした経営モデルが、企業を変えていく時代が間もなく来るのではないかと思います。
ベクトルは、企業からNPOではなく、NPOから企業です。それも脆弱なまだ法人にもなっていないようなNPOから。
但し、そのNPOの実態認識において、おそらくNPO学会のメンバーと私とは全く違うでしょうが。
私が間違っていればいいのですが。

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