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2006/06/16

■関係の逆転

一昨日の続きで「信頼性」について書きます。
私のところには、いろいろな方が雑談に来ます。なかには相談も少なくありません。
相談に対する私の対応は単純です。基本は2つのパターンしかありません。
ひとつは、「それってどういう意味ですか」というソクラテスアプローチです。
相談の内容を肝心の本人が理解していない場合や相談以前の場合の対応です。
問題を理解できれば、ほとんどすべてその時点で解決できたようなものです。
もうひとつは、「いいんじゃないですか」というエンパワーアプローチです。
私に相談した人は大体この答えを受け取ります。
時にアジテーションになったり、コンセプトデザインの手伝いをしたりすることもありますが、基本姿勢はこの2つなのです。
昨日も引用した「ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー」にアドバイスに関する組織行動学者たちの報告が出ています。
多くの人が、その道の権威や専門家、あるいは有料情報を過大評価しがちだというのです。相談料は高いほど信頼されるそうです。
前者でいえば、答えの内容ではなく、答えた人への信頼性、それもその人の社会的評価が判断基準になっているということです。
そのため、ある分野で有名になった人は、すべての領域で発言を求められるようになるわけです。
後者でいえば、費用と品質は関係しているという認識があるということです。
先日書いたネクタイの話に榊原さんが書いてくれた、ブランド物は高いから売れるという話につながります。

問題は、いつしかそれらの関係が反転してしまうことです。
有名人であるだけで、その人の意見への信頼感が高まることから、その言葉を利用する人が出てきます。
そのため専門分野ではない事柄にまで意見が求められ、意見が言えるようになります。さらに、それがまたビジネスになるのです。
費用と品質の視点からは、値段を高くすることで信頼性を高める発想がでてきます。
価格を高くすることで商品価値や情報価値が高まるわけです。
もちろんそれはあくまでもイメージ価値ですが、その一定の部分は実体価値を生み出すところがややこしいところです。
ちなみに、この構造を合理的に展開する仕組みを構築したのが一時期流行したCI戦略です。発展させることにおいて関係者は必ずしも成功したとは思いませんが。これに関しては、CWSコモンズのアーカイブのコーナーに昔書いたコーポレートデザインの論文を近々掲載します。ちょっと横道に入ってしまいました。すみません。

こうした本末転倒した発想が大手を振って闊歩しているのが現代かもしれません。
これもまた「金銭至上主義の時代」の風景です。

私は相談の専門家でも権威でもなく、しかも有料ではありません。
にもかかわらずいろいろな人が来てくれるのは、もしかしたら「相談」ではなく、「雑談」しかしていないからかもしれません。
「相談」と「雑談」。この違いも面白い問題ですが、これはまたいつか書きたいです。

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