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2006/06/12

■子育てが不安の風潮

少子化問題を話していて、改めて気づいたことがあります。
子育てへの不安という幻想が少子化を助長しているということにです。
もっとわかりやすくいえば、子育て支援の制度や仕組みができればできるほど、またそうした必要性をマスコミが問題にすればするほど、少子化は進行するのではないかということです。
大学を卒業して今春、企業に入社した女性が「まわりに子育てへの不安があることは事実」というような話をしてくれました。そこでハッと気づいたのです。つまり「不安」というものは誰かから教えられるものだということです。
これもいつか書きましたが、「知は力」が真実であると同じように、「無知こそ力」もまた真実なのです。その意味では、教育が生きる力を削いでいることは否定できません。
大人たちはしたり顔に中途半端の「知識」を次に続く世代に継承し、いつのまにか子育ては難しく、支援する仕組みがなければできないことになっていくわけです。
こんなことを書くとかなりヒンシュクをかいそうですし、子育ての難しさがわかっていないと怒られそうですが、難しいのは何も子育てに限ったことではありません。
人生は難しさの連続であり、だからこそ楽しく豊かなのです。

昨日、オリンピックコンサートなるものを聴きに行きました。
オリンピック選手の活躍や苦労の映像をバックにしたコンサートです。
オリンピックの栄光の陰に、どれほどの困難や苦労、不安や挫折があることでしょう。だからこそ高橋尚子さんはマラソンで優勝した時に、「楽しい42キロでした」と輝く顔で話せたのです。

楽しさと苦しさ、不安と充実、失敗と成功、貧しさと豊かさ。すべてはコインの裏表です。もっとも裏表ではない、貧しさや危険、困難と苦しさもないわけではありません。
安直な子育て支援策は、少子化を加速させこそすれ、問題の解決にはならないでしょう。さらに悪いことは、いまの少子化支援策のほとんどすべてが、金銭での解決の枠組みで考えられていることです。
少子化もまた、ビジネスの材料にされてしまったのです。

少子化支援策に取り組んでいる人たちに、ぜひ考え直してほしいと思います。
支援の意味をよく考えてほしいものです。
子育てにおける支援とは何か。
そこから考えれば、新しい答えは見えてくるはずです。
お金で子供は育てられません。しかし、この数十年、私たちはきっと子供たちをお金で育ててきてしまったのです。それと同じ過ちを今、組織的にやろうとしているのが最近の子育て支援策なのかもしれません。恐ろしい話です。
それに少子化がなぜ悪いのか、きちんと答えられる人はいるでしょうか。人間の視点から、です。労働力不足や市場の縮小は答えにはなりません。
もしなると思っているとしたら、少子化のことを考える資格はないと、私は考えています。

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