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2006/07/19

■名古屋の教訓

昨日、名古屋で乗ったタクシーの座席の前に「自己研修終了認定書」というのがはってありました。
最近は客との対応がいろいろ問題になるので、その研修を受けるのだそうです。
基本は、客を乗せた時間はともかく、ひたすら客に耐えることのようです。
相手のためと思って言っても、受け取り方で問題にされることもあり、
しかし何もいわないとまた無愛想だと怒られるわけです。
問題を残したまま降ろすとすぐに本社に電話があるそうです。
社会の実相が象徴されているようです。

密室的空間に自ら入って、自らの生命を託するタクシーのドライバーとの信頼関係がなくなったときに、
タクシーは存立できなくなるでしょうが、その予兆を感じます。
それは同時に、社会の劣化につながります。
タクシーが公共交通である時代は終わろうとしているのかもしれません。
規制緩和がそれを加速しているような気もします。
どこかに仕組みの問題がありそうです。

こんな話もありました。
名古屋のドライバーは信号切り替えのぎりぎりまで通過するのだそうです。
一番ひどいのは右折信号のある交差点で、右折に切り替わっても直進車が止まらないので、
右折車は今度は赤になっても走ってしまい、
その結果、反対の信号が青になっても、右折車のためにすぐにはスタートできないのだそうです。
つまり信号の効果が全体に少しずつ後ろよりになっているわけで、結局はそれぞれの走行時間は同じになるので、大きな目で見たら損得はないのです。

問題は交通信号の信頼性が低下することです。
私はいつも交通信号の信頼性に驚異に近いものを感じています。
世の中には様々な人がいますが、交通信号はほぼ例外なく守られています。
信号の信頼性を高めたことが、自動車産業の発展を可能にさせた最大の理由とさえ思いますが、
それは単に交通ルールだけではなく、社会生活の基本につながっています。
つまりモータリゼーションの普及と社会秩序の安定とは強い相関があるはずです。
交通事故数とソーシャル・キャピタルの関係は面白いテーマかもしれません。

以上、二つの話から、名古屋の未来を危惧するのはばかげていますが、
なぜか最近の企業不祥事は愛知が多いです。
それにトヨタの本社があるのに、愛知県は毎年交通事故の数では全国の1位か2位なのも理解しにくいことです。
トヨタのCSRの理念も気になります。

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