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2006/07/24

■管理のための教育と自立のための教育

教育基本法が問題になっていますが、その改正の動きと連動するように各地の学校や教育委員会でさまざまな問題が起こっています。
ある学校では教育勅語を生徒に唱和させたり、問題になっている教科書が住民の反対にも関わらず使われることになったり、メーリングリストにはそうした話が毎日飛び交っています。
教育を受ける権利は憲法で認められていますが、問題はその教育の中身です。

教育は2つの側面をもっています。
管理のための教育と自立のための教育です。
教育制度の設計主体が管理側にあれば、おのずとその内容は支配や統治のためのものになります。
経済成長を支援するための産業社会への順応教育も、この一種と考えていいでしょう。
これが悪いわけではなく、そのおかげで日本は豊かで安全な社会を実現しました。
しかし、そこには危険性も内在します。ナチスや今の北朝鮮の事例はそれを物語っています。
この種の教育は、ある段階まではメリットが大きいですが、ある段階を超すと管理側にさえマイナス面が出てきます。
しかしその段階で軌道修正する仕組みはほとんどの場合、仕組まれていませんから、破綻しかありません。

自立のための教育は個人に基点をおいています。
多様な選択肢を用意することが管理側の役割になります。
そこに市場原理を入れたほうが多様性を実現できるという主張が最近強くなっていますが、そんなことは絶対にありません。
市場原理の本質は多様化ではなく、画一化です。
そのことが忘れられているのが残念です。
民営化発想や市場原理は、多様性を壊しこそすれ多様性を増やすことはありません。

一時期話題になったチャプタースクールや私塾はうまく設計できれば多様性につながる可能性はありますが、そこにはしっかりしたコモンズの理念がなければいけません。

教育のありかたは、社会のビジョンと深く関わっています。
ビジョンや理念のない教育改革や研究がはびこっているのが、とても残念でなりません。

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