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2006/09/08

■貸金業規制法の変質と後藤田正純政務官辞任の意味

高利金融が人を殺し、家庭を破壊することがあるとすれば、その仕組みはやめるべきです。
にもかかわらず、もしそれを法的に認めるような仕組みをつくる人がいたら、
その人は殺人ほう助罪に問われるべきでしょう。
私は金利という概念自体に違和感を持っているので、
法外な利子(たとえば年利1割以上はすべて私には法外です)に依存して利益を上げていることに賛成はできません。

自民党の後藤田正純衆院議員が5日、金融庁が同日発表した貸金業規制法などについての改正案に反対して内閣府政務官を辞任するという記事が新聞に出ていました。
久しぶりに気分が晴れる記事でした。

貸金業規制法は議員立法として1983年に制定され、
商工ローンやヤミ金対策など、これまでは議員立法で改正されてきました。
私にとっては極めて不満足な改定でしたが、少しずつ前進していたように見えていました。
金融業界にはとても異を唱えられないだろうと思っていた議員たちがほんの少しだけとはいえ、動いたからです。

その貸金業規制法の改正がまた行なわれるようです。
ところが新聞記事によれば、名称を「貸金業法」に変えて内閣提出法案として国会に出す方向だそうです。
私には発想がまた逆転したように思えてなりません。

議員立法と内閣立法は天と地ほどの違いがあります。
それを象徴するように名前も変わっています。
「規制」ではなく「支援」へと基本姿勢が変わったのです。
庶民から金を取り上げることしか能のない、金の亡者の小泉政権(この評価には異論が多いと思いますが、私にはそう見えます)を見事に象徴しています。
しかもその中心にいるのは、税金を取り立てる発想しかない、悪代官のような金融庁です。
日本は金の亡者の国になってしまいました。

後藤田さんは、そうした金融庁案に対し、
「最高裁や金融庁の有識者懇談会などが規制強化で一致しているのに、特例金利などの経過措置を9年間も残す内閣案(金融庁案)」に反対して、抗議の辞任をしたわけです。
辞任するより案を変えるべきではありますが、
それができないのが今の政府であることを彼の行動は示唆しています。

こうした小さな事件に、ことの本質が見えているような気がします。

後藤田正純。
国会議員にも「省の指示」に反発する、まともな感覚を持った人がいるのですね。
この人の名前を覚えておこうとお思います。

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