■互いを知らなければ、何も始まらない
昨日、バレンボイムのラマラ・コンサートのDVDを観ました。
このDVDについてはCWSコモンズで紹介させてもらいました。
イスラエル人とアラブ人が一緒にオーケストラをつくり、両側で演奏を続ける話です。
クライマックスはラマラでのコンサートです。
エジプトの中野さんから勧められていたのに、なかなか観る機会がなかったのですが、昨日、イラクのことを書いたら急に見たくなって、夜、観ました。
その気になれば、時間などはいくらでもできるものです。
感想はCWSコモンズのほうに書こうと思いますが、ここではその中に出てくる言葉を一つだけ紹介したいと思います。
「互いを知らなければ、何も始まらない」
1980年代末のインティファーダ(パレスチナ人の住民蜂起)以来、イスラエルとアラブは敵対関係を強め、分断されていきます。
そのため、住民の交流はなくなっていきます。
そして相互に憎しみを植えつける教育が行なわれます。
このDVDに登場した、アラブの若い女性は、兵士でないイスラエル人を初めて見たと語りますし、ベートベンをオーボエで演奏するエジプト人を見て驚くユダヤ人の存在が語られたりします。
互いの暮らしを知らないままに、憎しみと恐怖だけが育ってきている状況が実感できます。
そして、イスラエル人とアラブ人が一緒に音楽活動をしていくうちに、お互いを理解し自らの意識が変わっていく様が見事に描かれています。
「互いを知らなければ、何も始まらない」
かみしめたい言葉です。
それにしても、音楽のパワーのすごさには、改めて感動しました。
聴く人を勇気づけるだけではありません。
演奏する人も勇気づけるのです。
故国、イスラエルで音楽賞を受賞したバレンボイムが受賞のスピーチをしますが、そこで彼はイスラエルの独立宣言を引用し、現在のイスラエルの占領政策に問題提起します。
それを受けた文化大臣は、明らかな不快感を述べますが、それを受けてバレンボイムはまた静かに語ります。
こんなに凄い音楽家がいたのです。
感動して声がでませんでした。
詳しくは中野さんの報告をお読みください。
やれることがたくさんあるのにやっていないことの多い私としては、とても恥ずかしい気がしてきました。
まだきっと間に合うでしょう。
いや間に合うことをやればいいでしょう。
平和のためにできることは、誰にでもたくさんあるのですから。
このDVDについては、中野さんからのメッセージをぜひお読みください。
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