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2006/09/15

■拉致問題と自民党の関係

CWSコモンズでも何回も紹介していますが、「軍縮問題資料」という月刊誌があります。
書名はかたいですが、とても読みやすい雑誌です。
一度廃刊になりそうになったのですが、読者の支援で回避された雑誌です。

私は毎回ほぼ全誌面を読みます。オフィスに行く往復の時間で読み終えられるほどコンパクトの雑誌です。
10月号の特集は2つありました。
「まともな首相を求める」と「9・11から5年後の世界」です。
いずれも一人でも多くの人に読んでほしい内容です。
年間1万円で購読できますので、ぜひ読んでほしい本です。
申し込みは簡単です。
http://www.heiwa.net/

今回の特集のなかの吉武輝子さんの「拝啓次期総理殿」で、衝撃的なことを知りました。

2003年衆議院選で土井たか子さんが落選しました。
全国を回って自分の選挙活動ができない土井さんに代わって、
吉武さんは支援の辻説法をしていたのだそうです。
土井さんの対立候補は、北朝鮮拉致問題一本やりの自民党の大前繁雄さんでした。
安倍晋三さんが応援演説に来た時のことです。
演説する駅頭には、(北朝鮮に拉致された日本人を)救う会ののぼりが立ち、
法被を着た人たちが神戸の住人の拉致被害者有本恵子さんの写真を展示し、署名集めをしていたそうです。

そこで有本さんの父勝弘さんが
「拉致の張本人は土井たか子である。首を討ち取ってやる」
と応援演説をし、続いて安倍晋三さんがそれに輪をかけた土井批判をしたのだそうです。

それが何だといわれそうですが、
その後、土井さんのポスターに有本さんの写真が張られたり、
有権者の家に「土井たか子が拉致の張本人であるという事実をどう考えるか」という
リサーチ会社と名乗る会社の電話がかかり続けたのだそうです。
小泉手法である「刺客派遣」を思わせます。

それがどうした、とまた言われるかもしれませんが、
もしこれが事実ならば犯罪を立件できるでしょう。
権力者の「大きな犯罪」は犯罪にならないとしても、
この種の小さな犯罪は目先の社会さえ壊しかねません。
こうした暴力的な選挙戦が行なわれているとは残念な話です。

しかし、私が衝撃を受けたのは、この件の前に、吉武さんが書いている次の文章でした。
長いですが、引用させてもらいます。

北朝鮮の拉致事件が新聞の紙面に取り上げられて数日もたたないうちに、新宿駅の西口に職が林立し、そろいの法被を着た男女が署名集めをしている姿を見た瞬間、背後に金と力のある集団が動いていることを察知し、慄然としたものでした。 永年運動サイドの人間として生きていれば、いかに市民運動が貧乏であるかを痛感しているだけに、あまりにも経済的に裕福なグループを目の当たりにすると、やたらに金の出所が気になってしまうのです。

拉致問題がある段階から全く進まなくなった理由が垣間見える気がします。
同時に、日本の行く末に関する不安が強まります。
暴かれた9.11疑惑の真相」に引用されていたヒトラーの言葉を探すために、「わが闘争」を読み始めました。

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コメント

拉致問題は無い、でっちあげだと社会党は言ってきたのだから
仕方ないでしょう。自民はアメリカにしても、社会党は共産圏とつるんできたわけだから。
秘書給与疑惑のようなどうでもいい問題で自爆して、社会党だって拉致を無いと言い続けて犯罪行為だったといわれかねない。

どちらかの一方の勢力に加担しない方法をお勧めしたいです。

投稿: ねこ | 2006/09/15 04:07

ねこさん
ありがとうございます。

私は社会党に与してはいません。
政党はすべて好きではありません。
組織の決定が個人を拘束しており、
私の時代認識と違っているからです。

今回、指摘したのは、土井さんが正しいということではなく、
対立候補の選挙のやり方です。
相手の選挙ポスターに写真を貼ったり、家庭に電話したりというやり方を問題にしています。それは私の認識では、ビラ配りで有罪にする以上に、犯罪だと思っています。
また国政の選挙の問題点を一点に絞り、相手の弱みに付け込むころが、
前回の小泉選挙を思わせると感じたことを述べました。
選挙はフェアにやらなくてはいけませんし、
相手の弱みをつくのではなく、自らの強みを訴えるのがいいと私は思っています。

私のブログやホームページは、偏りがあります。
中立的ではありません。
実名で主観を述べることが大切だと思っているからです。
また熟考して書くこともしていません。
かなりその時々の感情のままに書いています。
後で読むと自分でも書き換えたくなることも少なくありません。
ひどい時には意見を撤回して、反省することもあります。
しかし、その方針も変えるつもりはありません。
一人ひとりが自分の言葉で、すなおに語りだすことに価値を見出しています。

ですから必ず、「一方の勢力に加担」しかねません。
それが意見を言う意味だと思います。
私は解説者でも研究者でもないからです。

しかし、念のために言えば、私の発想の中にある軸は、
繰り返し書いていますが、「個人 vs 組織(制度)」です。
そして立脚点は「個人」です。人間といってもいいと思いますが。
自民党に敵対し、社会党に与しているわけではありません。
それが伝わっていないとしたら、
私の表現力の問題です。
反省しなければいけません。

公開の場でのアドバイスに感謝します。

投稿: 佐藤修 | 2006/09/15 07:58

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