■団塊世代の関心の行方
来春の統一地方選に向け「団塊世代を地方議会に送るネットワーク」(団塊ネット)を立ち上げるという記事が新聞に出ていました。
組織から離脱を始める団塊世代の目がどこに向いていくかは社会の方向性を左右する大きな問題です。
私は団塊世代の少し上の世代ですが、我々よりも上の世代が構築した路線に乗ってしまったという意味においては、同じ仲間ですし、団塊世代の勢いに乗って、むしろ「いいとこどり」をしてきたという意識も少しあります。
私自身は、前の世代が作り上げた路線にはなじめずに、18年前にその路線から降りてしまいましたが、それでもその路線と完全に袂をわかったわけではありませんので、罪の意識はぬぐい切れません。
まあそんなわけで、団塊世代にはあるシンパシーを感じています。
ところがその団塊世代の話題が最近毎日のように出てきます。
CWSコモンズでも最近書きましたが、生産者として活躍してきた団塊世代を今度は市場として取り込もうという動きです。
生産者としての団塊世代と消費者としての団塊世代は、当然、表情が違います。
昨日、あるところで仕事の話をしていたら、団塊世代は消費者としてかなりのこだわりがあり、安ければ良い訳ではないという話が出ました。たしかに「うんちく」をかたむける団塊世代は少なくありません。
しかし、日経マスターズの元編集長からお聞きしたように、団塊世代はお金を持っていてもお金は使わない層かもしれません。
団塊世代の男性にとっては、お金は稼ぐものであって、使うものではないのかもしれません。女性はかなり違いますが。
そうしたことを考えると、経済の面では引き続き生産側に回りたがるのかもしれません。
団塊世代起業支援講座は盛んですし、私の友人もそうした本をまもなく出版します。
しかも彼らが目指しているのは、NPOやコミュニティビジネスの世界です。
その世界はまだアマチュアリズムの世界ですから、活動の余地は大きいでしょう。
ただ、そこにこれまでの経済発想をそのまま持ち込んで良いのかどうかは疑問です。
経済的には成功しても、それはあまり意味のあることではありません。
それにもしそうであれば、これまでの社会の方向をさらに深化させることにもなりかねません。
団塊世代は最後まで、経済のために滅私奉公して終わってしまう恐れもあります。
しかし、団塊世代が政治に目を向けるのは、新しい風を起こすことになるかもしれません。
団塊世代はこれまで基本的には政治を観察し迎合するだけだったように思いますが、もし彼らが主体的に動き出したら、日本の政治環境は大きく変わるでしょう。
民主党の菅さんも「団塊党」を主宰していますが、そういう従来延長型ではない団塊世代の政治活動が始まったらどうなるでしょうか・
半分不安を持ちながら、期待しています。いや、不安は半分以上なのですが。
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コメント
度々書いてすみませんが、ひとつ。
何か日本は戦争責任の問題がはっきりしないまま、
戦前の神聖天皇国家になってゆく一方、科学技術が
権力とより合体して恐ろしい事件が頻発してゆく
気がします。
投稿: tabata | 2006/09/20 21:55
団塊の世代といっても組織で生きてきた人とそうでない人といろいろです。組織で生きてきた人は組織の背景なしに何ができるのか、ということになってしまうでしょう。定年後もNPOなどの組織を背景にしなくてはならないのもさびしいものです。
まずは地域の防災部にでも入って、裸の自分をさらしてみることからはじめるのがよいかと思います。政治の原点はそこにあるのではないでしょうか。
投稿: tejima | 2006/09/21 23:10
田端さん
ありがとうございます。
11月26日に技術者の倫理をテーマに公開フォーラムを開催します。
CWSコモンズのほうに案内を出しますので、
良かったらご参加ください。
科学技術もいろいろ問題を抱えているように思います。
手島さん
ありがとうございます。
昨日、自治会のあつまりをやりました。
まだみんな軸足が企業ですが、
防災・防犯活動はまさに地域に入り安い分野ですね。
一度、個人で活動することを体験すると、
組織の意味がわかるような気がします。
組織は使うものであって、
使われるものではないのですが、
最近は組織に使われている人が多いように思います。
投稿: 佐藤修 | 2006/09/25 10:11