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2006/11/15

■貸金業法改正とNPOバンク

また書いておきたいことが出てきました。
すでに話題になっているので、私が書くまでもないのですが、
出来るだけ多くの人に知ってほしいと思ったのです。
それに加えて、ちょっと私の私見も書きたいと考えたのです。

以前も一度書き込みましたが、「貸金業法」の改正が国会で審議中です。
これについては、相変わらずの胡散臭さを感じていますが(つまりその後ろにいる金融業界の思惑です)、
それとは別に、NPOバンク関係者からの問題提起が行われています。

NPOバンクとは、簡単に言えば、
市民事業の支援や顔の見える範囲での助け合いのために、
市民がお金を出し合い、無担保低金利で融資をしている小規模な非営利金融です。
頼母子講や結いにつながるものであり、私のビジョンにもつながりますが、
念のために言えば、私の思いとは似て非なるものです。
私のビジョンには「利子」という概念は皆無です。
利子を埋め込んだ途端に産業のジレンマを呼び込むことになるからです。

ちなみに、今年度ノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行もNPOバンクの一種だそうです。
私自身はNPOもNPOバンクも、過渡的なものと位置づけていますが、
もしそうであっても、利権型の産業界や政治の世界からは歓迎されないだろうとは予想していました。
それは「地域通貨」と同じく、権力構造に管理される世界には大きなノイズになるからです。
しかも危険なノイズです。見過ごすわけにはいかないでしょう。

その走りとしての市民バンクを支援した永代信用組合は強制破綻させられてしまいましたが、
もしかしたら、市民バンクのせいだったのではないかとさえ思いたくなります。
まあ、さすがにそんなことはないと思いますが、この事件は訴訟になり、私の友人たちも関わりました。
私は参加していませんが、訴訟原告団のサイトをご覧ください。

ところで、貸金業法の改正がなぜNPOバンクに関係しているかですが、
それは、財産が5000万円以下しかない貸金業は認めないということになりそうだからです。
「みんなで少しずつお金を出し合って、自分たちの周りを豊かにしていこう」
というNPOバンクにとって5000万円の財産要件は大きな壁になりかねません。
詳しくは次のサイトを読んでください

そこで、問題になり出したのです。国会でも審議されだしています。
また、全国NPOバンク連絡会では今度の土曜日に緊急フォーラムを開催しますので
ご関心のある方はご参加ください。

この問題は昨今の「改革」の本質を象徴するとても重要な問題提起をしていますし、
「貸金業者」とNPOバンクとは全く別のものという、
全国NPOバンク連絡会の主張には与したい気もするのですが、
その主張には完全には共感できずにいます。

どう共感できないか。
それは、いつまでもなぜ今の経済パラダイムの枠の中に安住しつづけようとしているのか、という疑問があるからです。
「利子」という発想を捨てられない以上、今の拝金主義からは抜け出せないでしょう。
利子が高い低いなどというのは同じパラダイムの内部の話です。
利子はゼロかマイナスにしてこそ、NPOバンクは新しい世界の主役になっていけるでしょう。

金を貸すのではなく、提供すれば良い話です。
もしそれで成功したのであれば別の困っている活動に提供すればいいだけの話です。
そんな夢物語を語るなと怒られそうですが、夢が無いのであれば、NPOなどに取り組む必要はありません。
パラダイムを変えられないNPOは、企業の変形でしかないのではないかと私は思っています。

そろそろ既存社会のサブシステムとしてのNPOから卒業すべき時期ではないでしょうか。
少なくともビジョンとしては。

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コメント

NPOバンクを検索していてこのHPを拝見しました。NPOバンクのご紹介ありがとうございます。
NPOバンクの事務局をしている奥田といいます。

「その主張には完全には共感できずにいます」とのことなので、少し説明させてください。
『「利子」という発想を捨てられない以上、今の拝金主義からは抜け出せないでしょう。』とのことですが、ボランティアベースで行うとしても、多少の費用は生じます。

地域通貨と違ってリアルマネーを扱い、出資者からお金を預かっているということから、NPOバンクは一定の社会的責任と、長期的な展望を持つ必要があります。

NPOバンクは小規模であることが必要であると思っていますが、良心的であろうとするほどリスクが高くなり、そうすると一般化しにくいという現実があります。

そのためには、理想主義的な側面に加え、現実の社会の中で多くの皆さんの理解を得るために、現実に対応できる力量と説得力のある組織であることが必要です。
そして、説明を感情的にではなく、良心的かつ社会的にできる力量を持つことが大切だとおもっています。(詐欺ではないと理解してもらうためにも)

出資者に対しては出資金に対する配当は一切なく、しかし融資先からは2~3%の利子を取り、その利子で、出資者に対する情報公開や多くの人にこの活動を知らせるための通信費、融資審査のための交通費(審査のために複数の人間が実際の事業を見に行っています)、事務所費用、紙代等経費を賄っています。

このことは、善意だけではなく社会を自分達の力で変えていくための、リアルな運動の継続性という面で必要だと考えています。

5000万円を2%の金利で1年融資すると、100万円の収入にしかなりません。これは貸し倒れ引当金に一定残したとすると、すべて経費で消えてしまうので、本当に必要最小限だと考えています。

パラダイムの変換という意味では、最初は小さくともリアルな変換から、継続の中から運動を大きくしていくことで、将来はさらに大きなパラダイムへ対応する力が生まれてくるのではないでしょうか。

以上の理由で、拝金主義ではなく、運動の一般化と継続性を目的として利子をもらっていると考えています。

ご関心がありましたら、以下のHPをご覧ください。
http://www.h7.dion.ne.jp/~fund/news.html

唐突な書き込み失礼しました。

投稿: h.okuda | 2006/11/23 21:29

奥田さん
コメントありがとうございます。

おそらく私の論よりも、
奥田さんの論のほうが説得力があると思います。
ただ私にはどうしても利子という発想に違和感があるのです。
すみません。

ご指摘の通り、
わずかな利子をとってもたぶん運営費も賄えないでしょう。
だとしたら全く別の発想で、考えたほうがいいというのが私の発想です。
利子ではなく、恩恵を受けた人がリレーのように、
運営費を喜んで負担していくという発想です。
あまり現実的ではないと思われがちですが、
必ずしもそうではないというのが私の体験です。
私が取り組んでいるコムケア活動では
そういう兆しも感じています。

NPOそのものに関しても、
私は今のNPO発想の多くに違和感があります。
相変わらずの金銭依存型のように思えてなりません。
これに関してはCWSコモンズのどこかに書き込みましたが、
発想を変えていかないと今の社会のサブシステムとして、
行き過ぎた金銭資本主義を支える存在になってしまうのではないかという危惧もあります。

かなり「歪んだ考え」かもしれません。

ちなみに「完全には共感できない」という意味は、
ほとんど共感しているという意味でもあります。

奥田さんたちの活動に異を唱えているのではありません。

集まりにも参加せずに、勝手な意見ですみません。
いつかお会いできるのではないかと楽しみにしています。
ありがとうございました。

投稿: 佐藤修 | 2006/11/23 21:50

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  安倍政権には、多数のアキレス腱があるといわれている。  そのなかで、地味で一見、見逃してしまいそうなのが、貸金業法等の一部改正案に関するもの。その前の、政治資金収支報告書ではふれなかったけれど、この団体等からの献金、政治パーテイ券購入実績は、ま、おも...... [続きを読む]

受信: 2006/11/29 13:08

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