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2006/12/04

■シマックの予言

最近、たまっている資料や記録を整理し、思い切って廃棄しています。
私は書籍や資料をともかく保管する傾向があるのですが、自分の時間軸を考えるとそろそろ廃棄しだすころだろうと実感しだしたのです。
もちろんただ廃棄するだけでなく、当時のことを思い出しながら、自らの生きてきた時間を思い出しながらの廃棄ですので、なかなか進みません。
しかし、その過程で様々な気づきがあります。
今日も書庫にある資料を整理していたら、メモが出てきました。
クリフォード・シマックというSF作家の「シティ」という作品の中の文章の書き抜きです。

「高度の神経系統を具えた生物ならば、このような都市の狭い地域の中に生存することは不可能である」
「やがては大量の神経症患者を出して、かような都市を作り上げた当の文化を自らの手で破壊するくらいがおちだろう」

シマックは私の好きな作家の一人でした。
この作品は1952年の作品です。壮大なおとぎばなしです。
当時のSFは、まだ明るさとユーモアがありました。特にシマックには牧歌的なやさしさや個人の視点がありました。
もっとも私がSFについていけたのは1970年頃までです。1980年代に入るともう全く違う世界に感ずる作品が多くて、以来、ほとんど読むのをやめました。

それはともかく、引用したシマックの文章が、最近の企業にあまりに当てはまることが気になりました。
ちょっと「都市」と「会社」を置き換えて見ましょう。

「高度の神経系統を具えた生物ならば、今のような会社の狭い組織の中に生存することは不可能である」
「やがては大量の神経症患者を出して、かような組織を作り上げた当の文化を自らの手で破壊するくらいがおちだろう」

どうでしょう。
違和感がないのは私だけでしょうか。
破壊の対象が組織(文化)であればまだいいですが、自分たちになることもありえます。

新しい会社のあり方が求められています。
そして、新しい兆しがさまざまなところで動き出しているように思います。
それが見えるかどうか。
シマックには半世紀前に見えていたのです。
私たちには見えているでしょうか。

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