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2006/12/31

■コモンズとしての愛国心

今年はいろいろと思うことの多い年でした。
昨日まで実はかなり元気をなくしていたのですが、今朝、5時に目が覚め、「希望」という言葉が急に頭に浮かびました。
それから1時間、いろいろなことが頭に去来しました。
隣で寝ていた女房を起こして、一緒に日の出を見ました。
ちょっと高台にあるおかげで、寝室から少し無理をすれば、手賀沼の対岸に日の出が見えるのです。
今日は今年最後のブログですが、「愛国心」について書くことにしました。
それは希望を語ることでもありますので。

今年は「愛国心」論議が盛んに行われました。
国家の品格が流行語になり、教育基本法が改悪されました。
日本はついに、愛国心を教え込まなければ維持できない国になってしまったのかもしれません。
しかし、愛国心のない人たちが愛国心を語り、品格のない人たちが品格を語るほど見苦しいことはありません。
フセインのイラクはどうだったのでしょうか。

愛は自動詞の言葉です。
愛を育てるのであれば、愛される実体が大切です。
実体を二の次にして、愛を育てることは洗脳か強要でしかありません。

品格もまた自動詞の言葉だと思います。
人の品格を論評する前に、まずやるべきことは自らの品格を正すことですが、そういう意味で、品格を他人事に語る人の品格は疑わなければいけません。

自動詞の言葉が、他動詞で語られるのが、今の日本の社会です。
実体がない、言葉だけの社会といえるかもしれません。

ところで愛国心ですが、私は昨日までは「愛国心」という言葉に拒否感を持っていました。
しかし今朝、考え直しました。
国家というものがある限り、愛国心は大切なことかもしれないと思い直したのです。
問題は、その愛国心の意味です。
国家にとっての平和が、国民の非平和を意味することが多いように、愛国心もまた多義的な言葉です。

独立インドの憲法を起草したアンベードカルは不可触民でした。
彼は不可触民制度をなくそうとし、ガンジーは不可触民の生活向上に努力しました。
そのアンベードカルがガンジーに対して、「私には祖国がありません」と鋭く迫る場面があります。そこに2つの愛国心のモデルを感じます。

愛国心には育つ愛国心と育てられる愛国心があります。
日本政府や有識者たちは、日本の現状では愛国心は育たないことを知っているのでしょう。
愛される国家づくりではなく、国家による愛国心づくりに取り組むことにしたようです。
なにやら北朝鮮やイラクを思い出します。

しかし本当にそうなのか。
政府や東京都庁のトップが語るように、愛国心は失われてしまったのか。
彼らに都合の良い愛国心がないだけではないのか。
有識者と目される人が語るように、本当に日本は品格がない国家なのか。
品格なき国家しか見えていないのは、著者自身の品格のなさの反映かもしれません。
私が、最近の日本社会に失望しているのは、間違いなく私自身への失望であるのと同じです。

コムケア活動やまちづくり活動で、さまざまな現場とささやかに付きあって見えてくることは、現場の人々の優しさや思いやりです。
その一方で、マスコミを通じて入ってくる裁判の動き、法整備の動き、経済界の動き、国会や自治体の動きなどは、未来には希望はないなと思わせるものばかりです。
この違いが問題です。
それらは別の社会なのかもしれません。主役が違うのです。
自らが体感できる現実に立脚して未来を見ていけば、愛すべき、信頼すべき国家が見えてくるのかもしれません。
私にもささやかに見えている、そうした国家がたしかにあります。
その場合、「国家」の意味合いはかなり違っていますが、それもまた国家です。
アンベードカルは、そうして積極的な活動を維持できたのでしょう。
ガンジーとは違う意味での愛国心と国家が、彼にはあったのです。

私の平和活動は「大きな福祉」を目指す生き方です。
人のつながりが育っていけば、不条理な争いはなくなるでしょう。
戦いで人を殺傷することなど出来なくなるはずです。
そしてみんながその状況を大切に思うようになるでしょう。
そこに「コモンズとしての愛国心」が見えてくるように思います。

出発点は私自身の生き方です。
毎年同じような言葉になってしまいますが、来年はもう少し前に進もうと思います。

今年1年、読んでいただき感謝します。
希望とアンベードカルについては、CWSコモンズにも書くつもりですので、年が明けたらCWSコモンズも読んでみてください。
ありがとうございました

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