« ■「障害」を意識しない社会 | トップページ | ■不法と違法 »

2007/02/16

■個人情報保護に関する勘違い

あるところで、最近は個人情報保護で会員の名簿すら作れないという話を聞きました。
そういえば、こういう話が良く話題になります。
今週だけでも2回目です。

私自身もいくつかの体験をしています。
名簿を作ろうとすると誰かが大丈夫かというのです。
イベントなどをやった時も、参加者名簿は配布しないほうがいいのではないかと言われたこともあります。
学校からボランティア参加者の名簿を作りたいのだが、自治会内のボランティアの人に了解を取って名簿を提出してくれないかと頼まれたこともあります。
私が自治会長だったからですが、最初から学校でボランティア登録してもらった、名簿を作ればみんなで協力できるはずなのです。

なにかおかしいです。みんな萎縮しているのです。
悪いことをしようというのならともかく、そうでない人が困ってしまうことはないのです。
もっと堂々と名簿を作ればいいのです。

個人情報とは、氏名や生年月日や住所など、個人を識別できる情報のことであって、プライバシー情報とは違います。
昔は電話帳に住所も載っていましたし、同窓会名簿や人名録で生年月日なども載っていました。
氏名は人に知らせるためのものですから知られて当然のことなのです。
ネットではハンドルネームなどを使うのが常識になっていますが、
私には違和感があります。
なぜ実名を出せないのか。
実名で語らない人の記事は私には関心がまったくありません。
名前を言わないのであれば、内容にも「実」はないでしょう。

なぜ隠さなければいけないのか。
ITの発展によって情報社会になったからこれまでとは違うというのが大方の考えですが、
問題は情報保護ではなく、個人保護であって、使い方の規制のはずです。
あるいは悪用する人たちの規制です。
個人情報保護法が出来たことで、悪用しようと思っている人たちはむしろ喜んでいると私は思います。
いかにも中途半端な情報管理体制が現実ですから、その気になればいくらでも集められるでしょうし、
その分、悪さは大規模化するはずです。
管理統制すれば、必ずその抜け道を探した犯罪が起こるものです。

女性に歳を聞いてはいけないという、まさに女性蔑視の「常識」がかつてはありましたが、
それ以外はすべて大らかに社会に出回っていた情報を、
なぜ法律までつくって「保護」するようになったのでしょうか。
その理由を考えてみる必要があります。
うがった見方をすれば、情報産業支援と行政の責任逃れです。
さらにいえば、犯罪者支援もあったかもしれません。

個人情報保護法が対象とすべきは、
個人情報を集積している行政や公的機関であり、
情報の悪用を考えている業者でなければいけません。
私たち生活者が、活動しにくくなるような個人情報保護の動きは本末転倒なのです。
しかし、現在の状況はその本末転倒が起こっているのです。

どんどん名簿を作りましょう。
イベント参加者の横のつながりを作るために、どんどん参加者名簿を流しましょう。
市民活動を規制するような法律は、つまるところ「個人情報」保護の名目で、「個人」保護を軽視しているのです。
個人情報保護などという名目での管理体制化の動きに騙されてはいけません。
個人情報は知られてこそ、意味があるのです。
山奥でこっそり暮らしたいのであれば別ですが、そうでないのであればどんどん個人情報は露出していくのが良いように思います。
それが「つながり」を育てることになるはずです。

それに、個人情報を隠そうとする人を、皆さんは信頼できますか。
私はあんまり信頼できません。

またまた暴言になってしまいました。

|

« ■「障害」を意識しない社会 | トップページ | ■不法と違法 »

社会時評」カテゴリの記事

コメント

その通りだと思います。
実は最近、同タイトルのような「気にしすぎてる」という書籍を本屋の店頭で見かけて気になっていたのですが、機会があり、個人情報保護法に関して詳しく勉強しました。
この法が詳細に規制しようとしているのはまさしく行政機関、独立行政法人、地方公共団体のことであり、民間部門ではそれほど厳しく取りしまわれて居ないのです。
「過去6ヶ月以内に5000人以上の個人情報を取り扱った事業者」が対象事業者であり、小さなグループや5000人分もの情報を扱っていない事業者は、法に順じて自己規制しているに過ぎないわけです。
では、一体何をしたら罰則があるのかというと、情報の取得や取り扱いを法的に逸脱した時に、その苦情が管轄する主務大臣の耳にまで届き、主務大臣から助言や勧告や命令が下された、でもその言う事を聞かなかった時に初めて罰金や懲役と言った罰則が当てはめられるわけです。

ここまで言うと暴論かもしれませんが、数十人数百人規模の個人情報を扱う程度ならば、法施行前の取り扱いと同じように取り扱っても、法的な罰則は無いのです。あとは、マナーの問題?ですかね。

投稿: yotu | 2007/02/16 10:11

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ■個人情報保護に関する勘違い:

« ■「障害」を意識しない社会 | トップページ | ■不法と違法 »