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2007/02/03

■裁判員制度よりも裁判の透明性の実現を

内閣府の世論調査によれば、
「裁判員制度について8割の人が制度が始まることを知っていたが、3人に1人が「義務でも参加したくない」と答え、参加に消極的な人が8割近くを占めた」そうです。
タウンミーティングの「やらせ」でも裁判員制度は多かったようですが、
産経新聞などのマスコミも同じようなことをやっていたようです。
まあ予想されたこととはいえ、そこまで落ちたとは哀しいです。

裁判を職業裁判官の閉ざされた空間から引き出し、
「開かれた裁判」にしていくということは極めて納得できることです。
官の司法から民の司法への司法改革にとっても重要な課題です。
しかし、だからといって、それが裁判員制度であるかといえば、もう少し真剣に考えるべきでしょう。
国民の多くが消極的なのには、それなりの理由があるはずなのです。

よくいわれるように、職業裁判官以外の人を裁判に参加させる方法には、陪審制度と参審制度があります。
私はこの前提がすでに間違っていると思うのですが、それはともかく、いま実現に向かっている裁判員制度は、一般市民である裁判員が裁判に参加する参審制度の一つです。その長所は、たとえば次のように言われています。
①裁判に国民の声が反映される。
②市民が法的責任感を強める。
③裁判をわかりやすくする。
④裁判(裁判官)をコントロールする。
⑤当事者が判決を受け入れやすくなる。
⑥司法に対する市民の信頼を確保する。
平成法窓界サイト

しかし、いずれもほとんど根拠がありません。
私などはむしろ、反対ではないかと思うほどです。
その理由をお話しすることもできると思います。

逆に、もしこれらのことを実現したいのであれば、裁判員制度など導入しなくても簡単です。
裁判を公開にし、そこに傍聴者の意見が言える仕組みをつくればいいだけです。
複雑な裁判員制度など導入する必要など全くありません。
裁判の透明性が高まり、様々な目にさらされれば、裁判の公平性は高まるはずです。
これもまあ根拠はないかもしれませんが、
たくさんの目でチェックされることで間違いは排除される可能性は高まるでしょう。

公開の場では自由な議論はできないとよく言われます。
まして個人のプライバシーが問われる場ではないかという人がいるかもしれません。
教育再生会議もそうした理由で、公開にはなっていません。
しかし、公開の場で発言できない発言というのは一体なんでしょうか。
たしかにそういうことが全くないとは言いませんが、
もしあれば、その場合だけ例外をつくればいいのです。
もちろん例外にする理由は公開にし、その理由も大方の賛成を得なければいけません。

冤罪の場合はどうなるのか。
報道被害や風評被害が加速されないか。
問題を挙げだしたらきりがありませんが、そうしたことも含めて透明性を高めることは可能です。
隠すから報道被害や風評被害が起きるのです。

但し、「司法」の概念を広く捉える必要はあります。
警察行政や検察活動までも透明性の中に加える必要はあります。
司法は「裁判」に凝縮されますが、その前後の透明性も不可欠なのです。
捜査と透明性は両立しないといわれそうですが、
何でもかんでも透明にすれば良いという話ではありません。
反対者の使うゼロ100論理に騙されてはいけません。

今の裁判は、余りにブラックボックスが多すぎます。
第一、裁判官の服装自体も権威的でブラックボックスを演出しています。
よくまあ恥ずかしげもなく、あんな服装を続けていると私などは思いますが、
自らを人を裁く神と勘違いさせなければ、
自らも、そして被告や原告をも説得できないのかもしれません。
そういう意味ではああした形式も意味を持つのでしょう。

しかし、もしそうであれば、そもそも裁判員制度には無理があるのです。
人は人を裁けません。
その前提で司法は構想されなければいけません。

国民の多くが裁判員制度に消極的なのは、とても素直な反応なのではないかと思います。
そこから出発することこそが、「市民のための司法」に向かう道ではないでしょうか。

その意味で、日弁連は勘違いしているような気がしています。
私のほうが勘違いしているのかもしれませんが。
弁護士の方が、どなたかご指摘いただければうれしいです。

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