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2007/02/14

■「無知のベール」のもとでの視界の広さ

アミネ一家の強制退去が決定したようです。
アミネさん自身は、留学を目的にした再入国が検討されるようでが。

以前も書いたように、国家が法を根拠に、こうした平和な家庭を壊すことには不安がありますが、
ブログにコメントしてくれた人のように、違法な入国者を認めることのほうが不安だという人もいるでしょう。
もっとも、このブログで何回も書いているように、
違法かどうかはかなり恣意的なものですし、法の精神こそが重要だと思います。
法は問題解決のツールでしかないからです。
それはともかく、この報道を聞いて、改めてロールズの「無知のベール」のことを思い出しました。

自分自身の位置や立場について全く知らずに(それを「無知のベール」と呼びます)判断を下すことで、自分だけの利益に基づいて判断することを避けることができ、それによって社会全体の利益に向けた正義が実現できるようになる、というのがロールズの正義論です。

もし自分の家族がアミネ一家と同じような状況に置かれたらどう考えるか。
そうした想像力が、さまざまな人が一緒に暮らしていく社会ではとても大切です。
国家や宗教は、そうした想像力を遮断しがちです。
内と外とを峻別してしまうからです。
敬虔なクリスチャンがアメリカのネイティブを殺害できたのも、逆に宗教のせいだったのかもしれません。
異教徒への想像力を抑制してしまうことで、仲間内の「無知のベール」の想像力を高め、仲間のつながりを強めることが出来たのかもしれません。

しかし、いま必要なのは、国家や宗教などのサブシステムを超えた、もっと大きな生命の想像力ではないかと思います。
アミネ一家の事件に限りませんが、私たちは国家や宗教などという人為的な制度に呪縛されずに、一人の人間として、「無知のベール」の世界を広げていくことができれば、きっと世界(人生)はもっと豊かになるような気がします。

テレビや新聞で、さまざまな事件が報道されますが、自分が被害者だったら、あるいは加害者だったら、どうするだろうかと時々考えます。
よかったら皆さんもそうした「無知のベール」ゲームをやってみてください。
事件の評価が、ちょっと違ってくることが、きっとあるはずです。

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