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2007/03/01

■「君が代伴奏命令は合憲」という最高裁判決と反対意見の存在

入学式で君が代を伴奏することを拒否して懲戒処分された小学校教諭が起こしていた違憲訴訟は、
最高裁が「公務員は、思想・良心の自由も制約を受ける」とした1、2審判決を支持し、
上告を棄却したため、合憲が確定しました。
一昨日の新聞で報道されています。

おそらく多くの人が、裁判長の「学校が組織として国歌斉唱を行うことを決めた以上、音楽教諭に伴奏させることは極めて合理的な選択。職務上の義務として、伴奏させることも必要な措置として憲法上許される」という判断にあまり違和感を持たないのではないかと思います。
むしろ日教組の体制批判的なイメージを思い出すかもしれません。

「君が代問題」については、このブログでも何回も書いていますし、CWSコモンズでも書きました
私も4年前であれば、見過ごしていたかもしれません。
私は君が代も歌えますし、日の丸にも特別の違和感はないのです。
そんなことに目くじらをたてることはないではないか、と思っていたのです。
しかし、君が代を歌えず、日の丸の前では立てない渡辺さんの思いを知ってからは、考えが変わりました。
目くじらを立てていたのはどちらか、ということを改めて考えてみると、違った見え方がしてきました。
強制するのではなく、歌えない人、立てない人が、歌えるようになり、立てるようになるにはどうしたらいいかを考えるべきだと考えるようになりました。
サッカー選手が君が代を歌うのをやめさせようなどとは渡辺さんも考えてはいないはずです。
寛容でないのはだれなのか、答は明確のような気がします。
君が代問題の背後にある、私たちが背負っている歴史を、もっと明らかにしていくことが大切です。

この判決には反対意見が付されています。
5人の裁判官のうち、一人だけが、「原告の思想・良心の自由とは正確にどのような内容か検討し、公共の利益との比較についてより具体的に検討する必要がある」と述べ、審理を高裁に差し戻すべきだとしたのです。
敗訴した教師は、「上告して良かったと思っています。藤田裁判官の少数意見が付いたから」と語ったそうです(朝日新聞)。

先日、テレビ朝日の報道ステーションで、40年前の袴田事件の裁判官だった熊本さんが、自らが書いた判決に関して、自分は無罪だと思っていたと告白したことが報道されていました。
報道ステーションのホームページから引用させてもらいます。

「袴田事件」で、元裁判官が新証言 1966年、静岡県の旧清水市で味噌会社の専務一家4人が惨殺され、味噌会社の従業員で元プロボクサーの袴田巌死刑囚が逮捕された、いわゆる「袴田事件」で、担当した元裁判官が心境を語った。「事件の進行具合では無罪だと思った」と語る熊本典道・元裁判官。裁判は3人の合議制で行われ、無罪を主張したのは熊本氏だけだった。法廷に提出された自白調書は45通で、採用されたのは1通のみ。残りの44通は「任意性がない」として却下された。「袴田事件を一生背負っていかなければならない」と語る熊本氏は、袴田死刑囚の再審請求に協力する意向だ。
熊本さんは当時29歳。皮肉にも無罪を主張した熊本さんが死刑判決分を書かされることになったのだそうです。そして熊本さんは、判決の7ヶ月後に裁判官を辞職したのだそうです。 袴田さんもですが、熊本さんも人生を大きく変えてしまったわけです。 ちなみに残りの2人の裁判官はもうなくなっています。 なぜ今頃になってと思いますが、熊本さんはその荷物を背負ったままでは死ねなかったのでしょう。 いま言っておかねば、という熊本さんの思いが画面から強く伝わってきました。 もし当時、反対意見も併記されていたらどうだったでしょうか。

民主主義とは多数決ではありません。
少数の意見が大切にされることです。
法曹界の人たちが、もし司法の民主化というのであれば、そのことを忘れないでほしいものです。

ひどい裁判が多すぎますが、今回の反対意見の存在には少しホッとしました。

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