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2007/03/19

■日本の仏教界からのメッセージは何でしょうか

最近、なぜか「仏教」の話題が、私の周りで増えています。
先月から毎日、般若心経を唱えだしたおかげでしょうか。
友人が仏教を学ぶために大学に入るという話を書いたら、
それを読んだ友人が、私もすでに学んでいるとメールしてきました。
先週会った友人も、仏教を学ぼうと思っているというのです。
シンクロニシティが起こっています。

先週は2冊の本が送られてきました。
一条真也さんの新著「日本三大宗教のご利益 神道&仏教&儒教」(だいわ文庫)
と五木寛之さんの「仏教への旅 朝鮮半島編」(講談社)です。
CWSコモンズのブックコーナーで「仏教への旅 朝鮮半島編」(講談社)のことを書きましたが、
このブログでも少し書かせてもらうことにしました。
いろいろと考えさせられたからです。

たとえば、韓国の仏教界が社会に向けてしっかりとメッセージしているのに対して、
日本の仏教界は何をしているのかという疑問が起こりました。
仏教への関心が高まっているのに、有効なメッセージを出せていないのではないでしょうか。
もしそうであれば、とても残念な話です。

韓国仏教の根底には華厳思想があるそうです。
いわゆる「一即多・多即一」の思想です。
宮沢賢治の小品の題材にもなっている「インドラの網」も華厳経に出てくる話です。

現代風に言い換えると、ホロニックパラダイムと言っていいでしょうか。
個々の存在と全体像が再帰的に構造化されている世界観です。
近代の基軸になっている要素還元主義とは別の世界観です。

その世界観が、仏教の基本にあることを再認識することはとても重要なことだと思います。
多様性が世界を豊かにする思想が、そこにあります。
同時に、誰か、あるいは何かを傷つけることが、自らを傷つけることであり、
自らを傷つけることが誰か、あるいは何かを傷つけることになるという「つながりの思想」が生まれます。
そこでは「自殺」の問題も見え方が変わってくるはずです。
そうしたことを起点にして、発想を広げていくと、おそらく最近の社会とは違った社会が見えてくるでしょう。

韓国が、そうした社会になっているわけではないでしょうが、韓国の仏教界のメッセージは明確なようです。
それに引き換え、日本ではどうでしょうか。
どんなメッセージが出されているのでしょうか。

最近の日本社会の実情を考えると、仏教界が果たせる役割は少なくないように思います。
仏教思想には、未来を解くためのヒントがたくさんあるからです。
いまこそ仏教界が社会に向けてメッセージを出す時期ではないでしょうか。
もっと社会の中に入り込んで、私たちの生き方を問い直す動きを出してもらいたいと思います。

いま動かずして、いつ動くのでしょうか。
宗教は滅びを慰めるものではなく、いのちを輝かすものではないかと思うのですが。

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