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2007/05/16

■「がんという言葉」

一昨日のNEWS23の冒頭で、キャスターの筑紫さんが、自らの肺がん告白を行いました。
「がん」は、実に哲学的な病気です。
思考回路を変えさせる言葉です。
ですから、付き合い方がとても難しい病気です。

私の妻ががんなのです。
家族で現在、闘病中です。
「闘病」という言葉は、少し正確ではないかもしれません。
「がんという言葉」に立ち向かっているというべきかもしれません。
昨日も病院でした。
私も、4年ほど、毎月、多いときは毎週、通い続けています。
妻ががんになったことで、その世界が少しだけ実感できています。
ほんの少しだけですし、もしかしたら間違っているかもしれませんが。

しかし、ともかく、生命に対してセンシティブになります。
健康な人の言葉は強く感じます。やさしい言葉ですら心を刺すことがあります。
同じ病気を体験している人の言葉はやさしく聞こえます。
会った途端に、仲間に感じられて、お互いに何かしてやりたいと思います。
状況が厳しい時には、その余裕がなくなることもありますが、女房をみていると、いつも誰かに役立とうという思いを感じます。
これは彼女の性格というよりも、置かれた状況の成せることだと思います。
彼女だけではないからです。
ほぼ例外なく、私たちが出会ったがん患者はみんなそうです。

一昨日も、自らもがん患者でもあるにも関わらず、女房のために「免疫ミルク」の情報を送ってくれた人がいます。女房の新聞投稿記事を読んで、手紙を送ってきてくれたがん患者からの手紙も昨日届きました。ほぼ毎日、こういうことがあります。
「がん」という言葉は、人をやさしくし、つないでいく言葉でもあることを実感しています。
「がん」という言葉には、心がつながるコミュニティを生み出す力があるようです。

今日、病院で女房の友人に会いました。
彼女の夫にやはりがんが発見されました。
同行していた私の娘も、病院で同窓生に会いました。やはり家族と一緒でした。
病院で時々知り合いに出会います。
おかしな言い方ですが、がんは、今や私たちにとって極めて身近な病気なのです。
筑紫さんも、2人に1人ががんになる時代と話していました。
にもかかわらず、「がん」といわれると心身ともに変調を来たします。
私は妻が「がん」といわれた途端に、世界が変わったのを覚えています。

もしかしたら最大の問題は「がん」という言葉ではないか。
「がんという言葉」で、みんな自己暗示にかかっているのではないか。
そんな気がしてきています。

希望を萎えさせると同時に、人をやさしくし、つないでいく、「がんという言葉」。
そこに何かとても大きな意味があるようなきがしていますが、それが何かまだ見えてきません。

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コメント

>もしかしたら最大の問題は「がん」という言葉ではないか。
>「がんという言葉」で、みんな自己暗示にかかっているので
はないか。

スーザン・ソンタグの『隠喩としての病』は、まさにこの通りの問題意識で書かれた本です。
ソンタグ自身がガンを患って発見したんだそうです。

投稿: いしもと | 2007/05/17 22:09

石本さん
ありがとうございます。

『隠喩としての病』の呪縛から解放されて、
健康に病気になるようになりたいと思いますが、
今やそれが難しいですね。

最近、未病という言葉が広がりだし広がりだしましたが、
これも同じようにならなければいいのですが。

投稿: 佐藤修 | 2007/05/20 06:38

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