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2007/06/25

■嘘にかかるコストは、サラ金のように高利

昨日の続きです。
日本の企業の多くは、なぜこうも「嘘」をつくのでしょうか。
嘘をつくコストの高さに、そろそろ気づいてもいいはずなのですが。
企業の広報活動や危機管理の基本は「フランクネス」です。
そしてそれこそが一番、組織およびそのメンバーにとってメリットがあるのです。

嘘は一度ついてしまうとどんどんと成長していきます。
嘘が嘘を呼び、その嘘を撤回することが難しくなり、逆に嘘を「真実」に化粧するために、さらなる嘘が必要になってきます。
そればかりではなく、その嘘の世界に周囲の関係者を引きずり込む力が出てきます。
そして、そうした嘘の仲間に入ってしまうと短期的には「いい目」を味わうことができるのです。
そして社会そのものも変質していきます。
しかし、嘘にかかるコストは、サラ金のように高利です。
時には松岡議員のように、自らの命でつぐなわなければならなくなります。

成熟社会におけるソーシャル・キャピタルは「信頼」だといわれます。
嘘が横行する社会では、信頼関係は育ちません。
そこで膨大な社会コストが発生します。
企業の広報活動は、私はそうした信頼関係を育てるためのものだと思っていますが、残念ながら日本の企業の広報戦略はそれとは逆なことが少なくありません。
私は、企業の広報問題のコンサルティングも仕事にしていますが、私のような発想はなかなか受け入れてはもらえません。
困ったものです。

ところで、信頼関係の不在が社会コストを発生させるということですが、社会コストを発生させるということは経済活動を発生させる、つまり市場を創出するということです。
ここに近代産業(経済)の出発点があります。
近代経済に埋め込まれている、こうした「ジレンマ」をどう止揚していくか、これがこれからの課題ではないかと思います。
政治経済的な発想から、生活経済的な発想へのパラダイムシフトです。
持続可能な発展が議論されていますが、このパラダイムシフトなくしては、持続可能性は実現できません。
経済パフォーマンスを評価するための現在の経済指標は根本から見直される必要があるように思います。

嘘をなくしていくための、もう一つの切り口は組織のパフォーマンスシフトです。
現在の多くの組織は、責任をあいまいにする仕組み、つまり嘘をついてもそれを見えなくしてしまう設計になっています。しかし逆に嘘を見つけやすくすることを目指した組織構造も可能です。
これは、組織間の構造や関係づくり、つまり社会構造原理にも当てはまります。
嘘のなすりあいは日本の社会の特長であり、問題が起こるとそれが見事に展開されますが、組織構造原理もまたパラダイムシフトすべき時代になっているように思います。

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