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2007/06/20

■朝鮮総連の会館売却問題の「事の本質」

朝鮮総連の会館売却問題の主役は、元公安調査庁長官と元日弁連会長です。
2人とも弁護士です。つまり「法の専門家」です。
この事件は政治色が強いので、真理は藪の中かもしれませんが、最近、弁護士のあり方を問題としている関係で、横道ながら書いておきます。
多くの人は、なぜ弁護士ともあろう人がこんなことをするのかと思うでしょう。
弁護士だけではありません。
元公安調査庁の長官がなぜ在日朝鮮人の権利保護などという名目で、こんなことをするのか。
そこに実は「事の本質」があるように思います。

エドガー・アランポーに「盗まれた手紙」という有名な小品があります。
「隠し方」は探偵小説の大きなテーマの一つですが、その代表作がこの作品です。
隠すかわりに、わざと目も前に放り出しておくという、真理の盲点をついたものですが、これはチェスタートンの「見えぬ人」やクイーンの「Xの悲劇」、さらには筒井康隆の「48億の妄想」などに受け継がれていくトリックの始まりです。
目の前で堂々と犯される犯罪は、意外と見えないものですし、ましてやその人の肩書きなどで真実が見えなくなることも少なくありません。
それを巧みに利用する詐欺も少なくありません。

私たちはさまざまな先入観で世界を見ています。
学歴の高い人は賢い、法曹人は正義の人、NPOは公益のために活動、政治家は政策に詳しい、学識経験者は判断を間違わない、イスラム教徒は怖い、民営化すれば効率的になる、医師は病気を治してくれる、ピカソの絵画はすばらしい、クリスチャンは人道的・・・・
そうした概念を捨てると全く違った風景が見えてくるはずです。
しかし私たちは、そうした概念的な呪縛に閉じ込められて、言葉で考えることに慣れてしまいました。
いや、私たちの世界があまりに広がりすぎ、変化が大きいために、そうしないと生きていけなくなってしまったというべきでしょう。
すべて顔見知りの小さな世界で生きられた時代は、ほとんどの人にとっては、遠い昔になってしまいました。
そこに、現代社会の問題の本質があり、それを象徴的に顕在化させてくれたのが、この事件かもしれません。

今回の事件は、法の専門家であり、北朝鮮問題に取り組んできた人だから、成立した事件なのです。
「見えるものを見えなくしてしまう存在」が必要でした。
ヤニングのような正義の人がナチ政権を成り立たせたことこそが重要だった」ことを思いまします。

事件が起きた時に、そうした発想で考えると、事の本質が見えてくることが少なくありません。
どんな事件にも「意外性」などないのです。

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